2023年4月改正道路交通法施行予定、自動運転への期待高まる
警察庁が、「レベル4」の運航許可制度を盛り込んだ改正道路交通法について、2023年4月1日の施行を予定していると10月下旬に報じられた。
「レベル4」では、特定の条件下で人を介さずにシステムのみでクルマを運行し、安全に停止させる役割を担う。緊急時に人が運転する「レベル3」とは異なり、全てをシステムが担当する。つまり、クルマに人が乗車しない自動運転が実現する。
自動運転は、人口減少が進む地域での特定ルートを無人で走る巡回バスなどでの利用が想定されている。人口が少ない地域で既存のバス運行は採算が取れず、タクシーの配置も期待できない。そのため、買い物や病院に行けない交通弱者を支えるために有効である。また、人口の少ない地域では交通事故の可能性確率も相対的に低い。
具体的には自動車を運転する3要素である「認知」、「判断」、「操作」をシステムが自動で行う。クルマに搭載されたカメラやセンサー、それにGPS(全地球測位システム)の位置情報などでクルマの位置や周辺状況を常に監視する。
また、飛び出しや障害物なども把握し、AIなども駆使してアクセル、ハンドル、ブレーキを自動で操作する。事故が発生した場合の責任の所在は、状況に応じて個別に判断するとしている。
政府は「レベル4」のサービス導入を、2025年をめどに40地域、2030年までに100地域以上での実現を目標にしているとされる。2023年の法律施行以降は、自動運転の実用化が加速する可能性がある。そこで、今回は自動運転関連の中小型銘柄をピックアップした。
HEROZ(4382)
AI技術を強みに市場予測などのサービスを提供。2022年7月に完全自動運転車の実現を目指し、研究開発に取り組むスタートアップ企業のTURING(チューリング)に出資したと発表している。チューリング社は自動運転アルゴリズムの開発や走行実験・走行データ取得などを行っている。創業者はHEROZに在籍し、将棋の名人に勝利した将棋プログラム「ポナンザ」の作者でもあるという。
HEROZが保有するAI技術でシナジーがある領域で支援する。なお、チューリング社は2022年10月に北海道一周長距離走行プロジェクトを実施し、総走行距離1,480kmのうち95%を自動運転モードでの走行に成功したと発表している。
ソリトンシステムズ(3040)
セキュリティ対策ソフトやシステム構築が経営の柱。2021年7月に、経済産業省が公募した「無人自動運転等の先進MaaS実装加速化推進事業(自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト)の第1テーマ(2022年度に遠隔監視のみ=レベル4=で自動運転サービスの実現に向けた取組)の委託先に採択されている。ソリトンシステムズは静岡県での小型バスなどで、遠隔型自動運転に関する公道実証実験の実績を有している。
イーソル(4420)
組み込み機器に特化したOS(基本ソフト)の開発販売が主力。2021年7月に、自動運転技術開発のスタートアップであるティアフォーと世界初のオープンソースの自動運転ソフトウェアである「Autoware」(オートウェア)を利用した自動運転技術の商用化、およびその普及を加速させるための戦略的パートナーシップを締結している。
イーソルは2015年のオートウェアの立ち上げ時からプロジェクトに参画し、関連OSを用いた実車実験などで共同開発を実施。オートウェアの業界標準を目指す国際業界団体のプレミアムメンバーとなっている。
ヴィッツ(4440)
自動車向けを始めとした多分野の組み込みソフトを開発。車載制御のシミュレーションや自動運転向け仮想空間シミュレーションも展開。また、ヤマハ発動機が開発した自律運転車両を積雪路面対応にするための研究を実施している。自動運転の基盤技術としてのソフトを提供している。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。