【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 31,019.68 △197.26 (9/19)
NASDAQ: 11,535.02 △86.62 (9/19)
1.概況
先週末の米国市場は物流大手のフェデックス(FD)の冴えない決算を受けて世界景気や米企業業績の下振れ懸念が強まり続落となりました。95ドル安でスタートしたダウ平均は朝方に411ドル安まで下落した後一旦150ドル安程度まで戻しましたが、再び下げ幅を広げると昼過ぎには朝方の安値近辺まで下落しました。しかし、引けにかけて下げ幅を縮めると結局139ドル安の30,822ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も103ポイント安の11,448ポイントとなっています。
昨日の米国市場は前の週に大きく下げたこともあって短期的な戻りを期待した買いが入り3日ぶりに反発しました。99ドル安でスタートしたダウ平均は長期金利の上昇を受けて直後に263ドル安まで下落しましたが、まもなくして持ち直すと取引終盤まで先週末の終値を挟んで一進一退の展開が続きました。しかし、引けにかけて買いが優勢になると上げ幅を広げ結局197ドル高の31,019ドルと高値圏で取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も86ポイント高の11,535ポイントとなっています。
2.経済指標等
先週末に発表された9月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値は59.5と前月から上昇しましたが市場予想を下回りました。また、昨日に発表となった9月の全米住宅建設業協会(NAHB)の米住宅市場指数も46と前月から低下し市場予想を下回りました。
3.業種別動向
先週末の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が下げ、エネルギーと資本財・サービスが2%以上下落したほか、素材も1%を超える下げとなりました。一方で生活必需品と不動産の2業種が上げています。
昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が上げ、素材と一般消費財・サービス、公益事業、資本財・サービス、金融が1%超える上昇となりました。一方でヘルスケアと不動産の2業種が下げています。
4.個別銘柄動向
先週末の米国市場ではフェデックスが21%を超える下落となりました。6-8月期の決算が市場予想に届かなかったうえ、9-11月期の1株利益の見通しも市場予想を大きく下回ったことで売りが膨らみました。また、ダウ平均構成銘柄ではボーイング(BA)が3%を超える下落となったほか、シェブロン(CVX)とウォルト・ディズニー(DIS)、セールスフォース(CRM)も2%以上下げ、アメリカン・エキスプレス(AXP)も2%近く下落しています。一方でホーム・デポ(HD)とアムジェン(AMGN)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、IBM(IBM)、インテル(INTC)、メルク(MRK)が1%以上上げています。
昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄ではナイキ(NKE)が3%近く上げ上昇率トップとなったほか、アップル(AAPL)も2%を上回る上昇となりました。また、ホーム・デポ(HD)とアメリカン・エキスプレス(AXP)、キャタピラー(CAT)、トラベラーズ(TRV)も1%以上上げています。一方でメルク(MRK)が1%を超える下落となっています。ダウ平均構成銘柄以外では、ビットコインが一時3ヶ月ぶりの安値を付けたことで暗号資産関連銘柄の下げが目立ちました。暗号資産交換業者のコインベース・グローバル(COIN)が5%を超える下落となり、ビットコイン取引を手掛ける決済サービスのブロック(SQ)も2%近く下げました。さらにバイデン米大統領がインタビュー番組で新型コロナウイルスのパンデミックは終わったと述べたことからワクチンを手掛けるモデルナ(MRNA)やノババックス(NVAX)などが安く、モデルナが7%余り下げ、ノババックスも6%を超える下落となりました。ファイザーも(PFE)も軟調で1%以上下げています。電気自動車のテスラ(TSLA)は今年のドイツでの販売が前年の2倍の8万台となる見込みで市場シェアがトヨタ(7203)を抜くと伝わったことで2%近く上げています。
5.為替・金利等
先週末の長期金利は変わらずの3.45%となりました。また、昨日の長期金利は0.04%高い3.49%となりました。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの見方から一時3.5%台を付け約11年ぶりの高水準を付ける場面もありました。ドル円は143円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
米国市場でダウ平均が先週末と昨日の2日間トータルで57ドル高となったことや、先週末に日経平均が大きく下げた反動もあり本日の日本市場は上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日本時間の22日未明に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控え様子見となりやすいなかで朝方の買い一巡後にさらに上値を伸ばすような動きをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)