豪ドルについて

米ドル/円は一時130円割れ近くまで米ドル安・円高となったところから、最近にかけて米ドル高・円安に大きく戻った。このように、米ドルに対して通貨安に戻したのは円だけではなく、先週以降はユーロや豪ドルなども同様だった。

この中で、テクニカルな観点から特に注目されたのは、豪ドル/米ドルだった。豪ドル/米ドルの反発は、結果的に52週MA(移動平均線)を超えられずに終わった(図表1参照)。このような値動きは、経験的には豪ドル反発は、飽くまで豪ドル安トレンドにおける一時的な動きの可能性を示すものだった。

【図表1】豪ドル/米ドルと52週MA(2005年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

基本的には米利上げを受けた米ドル高トレンドの裏返しの可能性はあるとしても、豪ドル反発は飽くまで一時的であり、まだ豪ドル下落トレンドが続いている可能性が高そうだ。それでは、豪ドル安・米ドル高はどこまで続くのか。

豪ドル/米ドルは、2008年のいわゆる「リーマン・ショック」大暴落以外は、52週MAを1割下回ると底を打つパターンが基本だった(図表2参照)。8月12日現在の豪ドル/米ドルの52週MAは0.72米ドル程度なので、それを1割下回るなら0.65米ドルを割れる計算になる。以上からすると、豪ドル/米ドルは、この間の豪ドル安値更新、0.65米ドル割れへ下落が続く可能性があるのではないかと推測する。

【図表2】豪ドル/米ドルの52週MAかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

ユーロについて

では、ユーロ/米ドルはどうか。ユーロ/米ドルは、7月に1ユーロ=1米ドルといった「パリティ(等価)」割れを、2000年以来、22年ぶりに達成したが、その後は一時1.03米ドル以上までユーロ反発となった。

ただし、こうした値動きを経て、上述の円や豪ドルと同様に、ユーロも最近にかけては下落再燃となっている。ではユーロ安はどこまで進むといった見通しが基本になるのだろうか。

経験的に、ユーロ/米ドルの52週MAかい離率が1割以上に拡大すると、さらに15%以上に拡大することが基本だった(図表3参照)。これを参考にすると、足元のユーロ/米ドルの52週MAは1.1米ドル程度なので、それを15%下回るなら0.95米ドル割れといった計算になる。

【図表3】ユーロ/米ドルの52週MAかい離率(2005年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

以上、米ドル高再燃を受けて、その結果といった位置付けになる豪ドル/米ドル、ユーロ/米ドルの下落見通しについて考えてきた。主に52週MAとの関係で見ると、豪ドル/米ドルは0.65米ドル割れ、ユーロ/米ドルは0.95米ドル割れが、基本的な「目標」になるのではないだろうか。