ユーロ/米ドル「パリティ」割れ
8月10日は米7月CPI(消費者物価指数)発表が予定されている。事前の予想では、総合指数は前年比上昇率が前回の9.1%から8.7%へ縮小するものの、コア指数は5.9→6.1%へ上昇率が拡大するといった具合に、引き続き強いインフレ懸念を示す結果が予想されている。
この米CPI発表が、7月は大きく為替相場を動かすところとなった。7月13日に発表された米6月CPIの総合指数上昇率が予想を上回る9.1%になると、7月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ幅が1%に拡大するとの見方が浮上し、それが材料視された形で、米ドル/円は翌日には一気に140円に迫るまで米ドル一段高となった(図表1参照)。では、今回も結果次第で為替相場を大きく動かすことになるだろうか。
7月13日の米CPI発表を受けた為替相場の動きとして、当時としては米ドル/円より、実はユーロ/米ドルの重要性が高かった可能性があった。ユーロ/米ドルは、このCPIの結果を受けて米ドル高・ユーロ安に動くと、翌日にかけて2000年以来22年ぶりの1ユーロ=1米ドルといった「パリティ(等価)」割れに向かった(図表2参照)。
ただ、「パリティ」割れを達成すると、その後はユーロ高・米ドル安へ戻すところとなり、CPI発表を受けた米ドル高は結果として一時的にとどまった。そういった中で、米ドル/円も140円の大台突破には至らなかった。
そもそも、当時の米ドル/円は、90日MA(移動平均線)かい離率がプラス10%近くに拡大し、短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなっていた(図表3参照)。その意味では、140円突破に至らなかったのは、既に米ドルが「上がり過ぎ」だったことが一因だったと考えられる。
では、今回はどうか。米CPIの結果次第で、米ドル高再燃となるだろうか。一時130円まで米ドル急反落となったことで、米ドルの短期的な「上がり過ぎ」は是正された。その意味では、7月以上にCPIの結果次第で米ドル高に反応しやすくなっている状況ではある。
これまで見てきたことからすると、7月CPI発表をきっかけに140円に迫る米ドル一段高となったのは、ユーロ/米ドルのパリティ割れという、22年ぶりといった歴史的出来事の達成に連れた側面も大きかったのではないだろうか。その要因が一段落して迎える今回のCPI発表へのリアクションは、もちろん結果次第ではあるものの、余程の結果でなければ米ドル高への反応は限られやすいのではないか。