日銀緩和継続でも起こった円急騰
6月27日付け為替デイリーで「日銀緩和不変でも円安は終わる」というレポートを書いた。2021年から展開してきた米ドル高・円安は、ほとんど米金利上昇で説明できるものなので、その米金利上昇が終われば、日銀の金融緩和が続く中でも米ドル高・円安は終わる可能性があるといった内容だった(図表1、2参照)。
7月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)の後から、米ドル安・円高に大きく戻すところとなった。日銀の金融緩和方針は全く変わっていないが、米金利上昇が止まり、米金利が少し低下する中で、米ドル/円は急落となった。
厳密に言えば、まだ米ドル高・円安トレンドが終了したとまでは言えないものの、日銀の金融緩和に変化がない中でも、米金利が低下するとこれだけ米ドル/円が急落するのは、基本的には上述の見立てが正しかったと言って良いのではないか。
ところで、上述の6月27日付けレポートでは、既に米金利は当面の天井を付けた可能性もあると指摘していた。これは、米金利には6月頃に年間の天井ないし底値を付けるといった重要な基調転換が起こる傾向があるといった「アノマリー」などを参考にした指摘だったが、結果的にこれもこれまでのところでは当っている。
米金利の多くが6月に当面のピークを付けたにもかかわらず、米ドル/円は7月にかけて米ドル高値を更新、140円に迫る動きとなった。基本的に米金利上昇に裏付けられた形で展開してきた米ドル高・円安の、このような「金利離れ」は、結果的に行き過ぎた動きであり、7月末のFOMC以降の米ドル安・円高が急拡大したのも、行き過ぎの反動の影響があったのだろう。
米金利上昇に連れて日本の長期金利上昇も広がりそうになると、それを容認せず、10年債利回り0.25%では無制限に購入する「指し値オペ」には批判も強かった。10年債利回りが0.25%に張り付いた状況が続く中では、日銀は連日「指し値オペ」実施を余儀なくされ、債券保有残高は空前の規模に膨れ上がった。
ただ、米10年債利回りの低下傾向が広がる中で、日本の10年債利回りも低下、最近は久しぶりに0.2%を下回ってきた(図表3参照)。為替相場も、債券相場も、米国の影響が極めて大きく、それに振り回されるということが再確認されるような状況が続いていると言えるのではないか。