過去5回の円高トレンドを検証
円安トレンド終了後、どのようなペースで円高に戻すかについて、前回のレポートでは、1998年以降の代表的な4回の円安トレンド終了後の円高について調べてみた(7月20日付け為替デイリー「円安終了後の円高・基本シナリオ」)。それによると、4回全てに共通したのは、円安終了後2ヶ月程度で5%以上、米ドル安・円高に戻し、そして半年程度では10%以上、米ドル安・円高に戻していたということだった。
仮に、今回140円から10%以上、米ドル安・円高に戻すなら、125円程度といった計算になる。普通に考えて、130円程度までの米ドル安・円高への戻しなら、まだ急激な米ドル高・円安の一時的な反動に過ぎないとの見方も残りそうだが、さすがに125円程度まで米ドル安・円高へ戻すようなら、既に円安トレンドは終了し、円高へトレンドが転換したといった見方になっているのではないだろうか。そうであるなら、円安トレンドの終了は、遅くとも半年程度過ぎると一般的な認識となっている可能性が高そうだ。
では、トレンドが円安から円高へ転換した場合、それはどのぐらい続き、その中で米ドルはどの程度下落するものなのか。図表は、1998年8月以降の米ドル/円のトレンドについて、継続期間と最大変動率を調べたものだ。この中では、継続期間が1年以下、最大変動率が20%未満にとどまったケースについても、一時的ではなく継続的な動き、「トレンド」に含めている。
この中で、米ドル安・円高トレンドは5回あったが、米ドル下落率の最小は13%、最大は39%だった。仮に、今回140円から米ドル安・円高トレンドが展開した場合、米ドル下落率が上述の最小、13%程度にとどまった場合の米ドル安・円高は120円までといった計算になる。一方、140円から下落した米ドルが、上述の最大下落率39%の下落となった場合の米ドル安・円高は80円台に突入する計算だ。
上述の5回のうち4回は米ドル最大下落率が20%を大きく上回っていた。その意味では、米ドル安・円高トレンドの中で米ドルは2割以上下落する可能性が高そうだ。ちなみに、140円から2割米ドルが下落するなら110円に迫るといった計算になる。
以上を整理すると、円安が仮に140円程度で終わり、円高へトレンド転換した場合は、少なくとも120円程度まで米ドル安・円高に戻す可能性はあるだろう。そしてそれはあくまで「最低限」といった意味であり、これまでの過去のデータからすると110円程度まで米ドル安・円高に戻す可能性を意識する必要があるのではないだろうか。