今週27日、関東甲信越では観測史上、最も早い梅雨明けとなった。ただ早いだけではない。梅雨明けした途端に、記録的な猛暑が続いている。記録的というより危機的な暑さだ。まさに「危ない」暑さである。日本救急医学会は会見を開き、熱中症への注意を呼びかけた。会見で、同学会の救命救急医、横堀將司さんは「環境省が公表している『暑さ指数』などを参考に不要不急の外出は控えてほしい」と述べた。みなさんも、不要不急の外出は何卒お控えください。
しかし、ゴルフは不要不急ではないので、僕は連日、ゴルフ三昧である。
こういう写真をSNSにアップしても、「いいね」はひとつも来ない。来るのは、「この炎天下でゴルフとは狂気の沙汰だ」 「あまりの暑さで脳をやられて、行動に関するまともな意思決定ができていない」「命にかかわる危険がある。子供やお年寄りが真似したらどうするんだ!すぐに写真を削除しろ!」というようなクレームばかり。どうぞ皆さま、くれぐれも真似しないようにお願いします。
株式市場では猛暑関連株が物色されている。富士通ゼネラル(6755)のようなエアコンメーカー、サーティーワン(2268)のようなアイスクリーム、ポカリスエットの大塚製薬<大塚HD(4578)>などの清涼飲料、サッポロHD(2501)などビール会社などがぱっと思い浮かぶシーズンストックだ。ところがスギHD(7649)などのドラッグストアも買われている。日焼け止めなどの売り上げが伸びるからだという。
なるほど、日焼け止めは僕にとっても必需品だ。ゴルフのラウンド中に何度も塗り直す。この歳になると顔のあちこちにシミが出て、テレビ出演の時はコンシーラーで隠しているのだけど、モーサテはメイクさんがつかないので自分でメイクしなければならないので大変である。先日、銀座の高級美容外科で大金を払ってシミを除去したのに、もうまた新たなシミが出てきてしまった。なので紫外線対策で日焼け止めは必須なのである。
僕が使っているのは、「スキンアクア ネクスタ シールドセラムUVエッセンス」だ。美容液成分を肌に閉じこめて、パックのように密着するセラムパック方式だ。日焼け止めなのに美容液を塗っている効果がある。なんと言っても、僕にとって顔は「商売道具」であり、「命」だから大切にケアしなければならない。しかし、ケチって腕には塗らないものだから、変な焼け方をしてしまって非常にカッコ悪いのである。
この日焼け止めはロート製薬(4527)が作っている。ロートの株価も急伸している。
まあ、しかし、猛暑だから猛暑関連株、っつーのも、芸がない。シーズンストックの買い方は「麦わら帽子は冬に買え」である。
昨年の夏の盛りに「麦わら帽子は冬に買え」というタイトルでレポートを書いた。このところ株式相場は「夏枯れ」の様相を示すので、夏は「株の季節」ではない。だから、季節外れで安く買えるときに仕込んでおこう、というメッセージだった。
さて今年の「麦わら帽子」は何か。それは「日経平均気候変動1.5℃目標指数」だ。日経平均の構成銘柄をベースに、温暖化ガス排出量に応じて指数に占める構成比率を調整し、指数全体の排出量は日経平均に比べて「半分」になるように設計されている。
昨今のESGブームを考えれば、この手の指数のパフォーマンスは良好と思われるだろう。確かに過去に遡及したパフォーマンスを見ると、2019年初めからずっと日経平均をアウトパフォームしてきた。グラフ1は、日経平均と日経平均気候変動1.5℃目標指数の相対チャートだ。この指数の基準日は2020年10月末。よって、その時点は1.00ちょうど(日経平均と日経平均気候変動1.5℃目標指数が同値)である。
このグラフで示した値は、NT倍率のように、日経平均÷日経平均気候変動1.5℃目標指数の値であるので、右肩下がりは日経平均気候変動1.5℃目標指数のほうが、パフォーマンスがいいことを表す。
ところが今年に入って、この値が上昇している。日経平均気候変動1.5℃目標指数が日経平均に劣後しているのだ。理由は言わずもがな、だろう。資源高を背景に、石炭や石油など化石燃料関連株が上昇しているからだ。
ちなみに米国S&P500の年初来リターンを見ると、トップ10すべてがエネルギー株だ。
日本はエネルギー株が少ないが、INPEXやチタニウムの企業などがパフォーマンス上位に並ぶ。
日経の中山さんが昨日付けのDeep Insightで書いていたように、ESGは試練の時にあるのか?
いや、今は資源高という逆風が吹いているがESGの流れは不変だろう。それにこの暑さだ。「気候変動1.5℃目標」に賛同しない者はいないだろう。
とすれば、現在の日経平均気候変動1.5℃目標指数は「冬の麦わら帽子」、今が買い時である。
この指数を紹介したヴェリタスの記事は、「今後、上場投資信託(ETF)など、指数に連動する金融商品が登場した後は、市場が気候変動への配慮を強めるとみれば、気候変動指数を買い持ちする一方、日経平均を売り持ちするロング・ショート戦略も有力になりそうだ」と書いているけど、確かにアーブとしてはいいが、個人がやっても、それほど儲からない。(それにまだそんなETFはない)
戦略としては、日経平均のウエイトよりオーバーウエイトされた(=排出量が少ない)銘柄を買い、アンダーウエイト(=排出量が多い)銘柄を売るのがいいだろう。
例えば、
<オーバーウエイト>
中外製薬(4519)、ファーストリテイリング(9983)、オリンパス(7733)、バンダイナムコHD(7832)、東京エレクトロン(8035)
<アンダーウエイト>
住友大阪セメント(5232)、太平洋金属(5541)、UBE(4208)、日本製鉄(5401)、東邦亜鉛(5707)
今年も前半が終わった。今年の前半を振り返ると、米長期金利の上昇を背景に割高感が意識されやすいグロース(成長)株の低迷が目立った。その象徴が、半導体株、なかでも東京エレクトロンである。半導体株は昨日も軒並み売られ、東京エレクトロンは年初来安値更新だった。
年後半は、前半の巻き戻しになると前回のレポートで書いた。であるなら、前半で売られたグロース株の復活に賭けるのが一番いいだろう。図らずも、その賭けは、現在逆風にさらされているESGという大きなテーマの復活に賭けることと同舟である。乗る価値はじゅうぶんあるだろう。
気候変動対策の重要性は誰もが文字通り骨身に沁みている夏だ。こんなに暑いんだから!