東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて続落となりました。170円安の26,149円で寄り付いた日経平均は直後に125円安の26,193円まで持ち直した後下げ幅を大きく広げると9時40分過ぎに545円安の25,773円まで下落しましたが、前引けにかけて下げ幅を縮めると244円安の26,074円で前場を終えました。再び節目の26,000円を割り込み323円安の25,995円でスタートした後場の日経平均は直後に352円安の25,966円まで下落した後大きく下げ幅を縮めると14時50分過ぎに72円安の26,246円まで戻し結局152円安の26,167円で取引を終えています。一方で新興株は堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

アパレル大手のワールド(3612)が4.0%高となり年初来高値を更新しました。既存店の通年営業と不採算店舗の退店による経費削減で2023年3月期のコア営業利益が前期比で2.3倍となる見通しを発表したことが好感されました。回転ずしのスシローを運営するFOOD&LIFE COMPANIES(3563)も7.8%高となりました。円安や原材料価格、輸送費の上昇などで現在の価格を維持するのは難しいと判断し10月から各店舗の最低価格を値上げすると発表したことで収益の改善を期待した買いが入りました。特装車大手の新明和工業(7224)も5.9%高となり年初来高値を更新しました。特装車事業で納入企業の減産が響き2023年3月期の純利益は前期比13.1%減となる見通しですが、年間配当を前期と同じ42円に据え置いたことを評価した買いが入りました。

また、自己株式を除く発行済み株式の1.9%にあたる2000万株と500億円を上限とした自社株買いを発表したキヤノン(7751)が一時3.0%高となり、自己株式を除く発行済み株式の3.01%にあたる150万株と100億円を上限とした自社株買いを発表したリンナイ(5947)も7.5%高となりました。さらに国内大手証券が目標株価を引き上げたことで山崎製パン(2212)が一時5.0%高となり年初来高値を更新しています。

一方で原油価格の下落を受けて石油関連株が安くINPEX(1605)が7.9%安、出光興産(5019)が4.4%安、コスモエネルギーホールディングス(5021)も4.1%安となりました。トヨタ(7203)も新型コロナウイルスの感染が広がる上海市などがロックダウン(都市封鎖)されたことが響き4月の中国での新車販売が前年同月比30.7%減の11万1100台となったと発表したことから一時4.0%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は152円安となりました。インフレや米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めを警戒した売りが続いたことや、中国の景気減速を懸念した売りも出て昨日の米国市場が大幅に3日続落となり主要3指数が揃って年初来安値を更新したことから売りが優勢となりました。一時は540円以上下落しましたが、節目の26,000円を割り込んだところで押し目買いが入ると米株価指数先物が時間外で堅調となっていたこともあって大きく下げ幅を縮めました。3月16日と17日に開けた窓(25,824円-26,152円)を埋め切った後に下げ渋ったこともあり明日以降に切り返す展開となれば調整一巡への期待も出てきそうです。

なお、決算発表が続いていますが本日も引け後にソニーグループ(6758)や日本製鉄(5401)、ダイキン工業(6367)、任天堂(7974)などが決算を発表する予定です。また、明日は取引時間中の13時25分にトヨタが決算を発表する予定で注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)