古来、日本の幽玄の美は、「わび・さび」と称されてきました。ところが最近、海外のアニメファンの間では、これにサブカルチャーを加えた「わび・さび・もえ」こそ日本の文化、と言われているとのことです。
確かに、「萌え系」に限らず、日本のコンテンツ文化の素晴らしさは世界の誰もが認めるところです。現在世界を席巻している「ポケモンGO」も、「ポケットモンスター」という20年来の人気コンテンツがあってこそでしょう。なるほど、つかまえ甲斐のある、かわいいキャラです。
しかし、ちょっと心配なこともあります。6月末に発表された2015年の国勢調査によれば、50歳男性の生涯未婚率は22.8%と過去最高になりました。20年前の1995年の9.0%から2倍以上となっています。この値には、景気変動の影響はあまりみられません。
そういえば、インターネットが普及し始めたのが1990年代です。これ以降、人々が余暇にパソコンやスマホを見る時間は増え続け、直近のデータでは、国民一人当たり一日2.9時間となっています(博報堂DY)。10年前にはわずか68分でした。朝起きて見て、電車で見て、お風呂の後寝るまで見ている、というイメージでしょうか。
特に若者のネット時間は長く、実に一日4時間を超えています。ここまで長くなると、やはり非婚と無縁ではないのではと思います。
ポケモンGOでは、ゲーマーたちが外に出るようになり、チーム戦で友達もできる、とも言われます。しかし、それでも、プレイヤーたちの熱い視線はかわいいモンスターに集中しています。少子高齢化が先進国共通の課題です。特に若年層の皆さんには、2次元だけでなく、3次元の異性にも目を向け、明日の経済成長を支えていただきたいものです。
マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那