IMF、米国や中国の経済成長率が大きく鈍化と予測

国際通貨基金(IMF)は1月25日、2022年の世界の経済見通しを4.9%から4.4%に下方修正しました。国別で下方修正が大きかったのは、米国の5.2%から4.0%、中国の5.6%から4.8%への下方修正でした。

新型コロナショック後に急回復した景気の反動、これが今の株価の調整要因です。経済見通しが下方修正されているわけですから、景気の鏡である株価が下げても何ら不思議ではありません。

NYダウ平均はプラスの変動幅へ

さて、米国のNYダウ平均は1月28日現在でも200日移動平均線を割り込んでいるものの、2021年9月につけた安値(33,843ドル)を終値で下回っていません。1月28日には564ドルの反発となり、目先の底割れは回避する格好となりました。ただ、反発が一巡した後に9月安値を下回ると、米国株全体が一段安につながる可能性が高まります。

というのは、主要指数の中で相対的に強いのがNYダウ平均だからです。先週1週間の高値と安値の値幅は1,665ドル程度に広がりましたが、終値の変動幅は360ドル程度で、しかもプラスの変動幅となりました。その結果、トレンド転換を判断する「新値3本足」が陽転(強気サイン)しています。ちなみに、S&P500も陽転しました。

一方、ハイテク株が主体のナスダックの高値と安値の変動幅は908ポイント程度、終値の変動幅は84ポイントでマイナスの変動幅でした。米半導体株指数に関しては、高値と安値の変動幅393ポイントに対して終値の変動幅はマイナス176ポイントでした。

ナスダックやグロース系指数はNYダウ平均に追随するか

今週の米国市場の動向はとても重要です。「新値3本足」が陽転したNYダウ平均に追随して、ナスダックや半導体株指数などグロース系指数の盛り返しがみられるかどうかが焦点です。

短期的には魅力的にみえる投資判断としては、やはり強烈に下げたグロース系指数の押し目買いということになるのですが、2022年通年でみるとそんなに単純ではないような気もします。

当面は真っ先に買い転換したNYダウ優位になる場合の個別戦略が有効とみられます。日本株に関しても、当面は下げたハイテク株よりも、バリュー系への買いを続けた方が有効かもしれません。

陶酔感漂うアップルの時価総額3兆ドル超え

思い起こせば、日本経済新聞の『アップル、時価総額3兆ドル』という表題のネット記事をみて、相場の先行きを危惧したのは私だけではなかったと思います。

3兆ドルというと、今の米ドル/円相場(1ドル=115円で換算)で約345兆円。記事の中身にも書いてありましたが、東証1部上場の時価総額749兆円(1月4日時点)の半分に迫る勢いです。テスラを合わせると、6割を超えてしまいます。

当時、この2社の株価が下落し出したらどうなるのだろう、と考えるだけで恐ろしくなった記憶がありますが、このような記事が出ること自体、陶酔感ありの状況だったといえそうです。