新年あけましておめでとうございます。

さて、昨年、2021年の業種別株価指数の上昇率トップは断トツで「海運」でした。2021年12月最終週のコラム「2022年、気になる商社株の選好順位は?」の中で、テクニカル面から良好なその「海運」に加え、「卸売」、「保険」の業種別株価指数を長期チャートで比較し、個別株の選好順位まで考察しました。 

今回は2021年の業種別株価指数の下落率10位内にランクインした「電気・ガス」、「食料品」、「医薬品」などディフェンシブ業種の長期チャートを比較し、個別株の選好順位を考えたいと思います。

TOPIXから見る電気・ガス、食料品、医薬品の株価指数の推移

図表1の2002年末を100として指数化したチャートで見ると、「電気・ガス」は、2015年の戻り高値からずっと下落が続いています。2021年もその方向を変えることなく、高値を切り下げる下落基調が続き、今年、2022年の1年間を見る上でも厳しいところです。

【図表1】2021年の騰落率下位のディフェンシブ業種(東証33業種、指数化)
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチが作成

「食料品」は2013年あたりから上昇基調を強めましたが、2018年1月高値からの調整局面にあります。2021年は立ち直る気配も見られましたが、早くも戻りが一服した感が強くあります。

一方、「医薬品」は様相が異なります。新型コロナショックで2020年3月に一時急落しましたが、わずか2ヶ月後の5月には高値を更新しました。2021年は調整の1年となりましたが、2011年安値からは概ね右肩上がりが続いています。2022年はディフェンシブでは、「医薬品」が選好優位になる可能性が高いと見ています。

医薬品大手の株価動向

「医薬品」株というと、新薬への取組み、販売承認、ライセンス収入の増減、研究開発中の薬剤(パイプライン)など個別の材料・特徴が色濃く株価に反映されることもあって、他の業種に比べて動きがまちまちになる傾向があります。

図表2で時価総額上位5社の株価推移を見ても、中外製薬(4519)は高値波乱を経て調整局面、武田薬品工業(4502)は長期低迷が続いています。

【図表2】医薬品大手の株価推移(指数化)
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチが作成

一方、2022年の注目は塩野義製薬(4507)、第一三共(4568)、アステラス製薬(4503)の動向です。塩野義製薬は2018年高値を超えたばかりで勢いがあります。そのため、短期的には過熱感はありますが、これから新しい水準で上値を試せるかどうか、が焦点になるのではないでしょうか。

第一三共は2020年までの上昇に対する調整が一巡し、戻りを試す展開です。最も注目したいのは、アステラス製薬でしょう。7年近くもみ合いを続けています。それだけ、相対的に体力が余っている、新しい材料に反応しやすい、トレンドが一旦発生すると長期化しやすい、と言えそうです。

もちろん、もみ合いから下放れとなる可能性もありますので見切り発車はリスクが高いため、もみ合い上限である2,050円処を明確に上回ったのを確認してからの強気判断でも遅くはないでしょう。