2022年前半・後半に予想する相場の動きとは?
今回は年末ということもあり、2022年の相場展望を書いてみたいと思います。基本的な流れとしては、2022年前半の日経平均は、1月と5月が高値または安値の重要月になると予想しています。ただ、2021年のもみ合い相場の範ちゅうを脱しきれず、上値・下値ともに限定的と考えています。
2022年後半は、2023年に向けて相場が上放れるタイミングを迎える公算が大きいと考えています。米ドル/円は踊り場を経て緩やかに円安が進行し、2023年には1ドル=123円台をうかがう展開になるかもしれません。2022年は118円処までがメドになるとみています。
また、米長期金利は安定し、原油相場は調整色を強めるでしょう。2021年に調整を強いられたグロース株への見直し買い、バリュー株への押し目買いが2022年後半は同時に起こり、プライム市場を中心に全体の底上げを想定しています。
物色買いとしては、自動車関連やコンテンツ関連に注目しています。半導体不足の解消と同時に電気自動車の開発・投入計画が前倒しとなり、円安背景もあって自動車関連企業の業績期待や割安面がクローズアップされるでしょう。2023年に向けて小型グロース株の仕込み場になるとみています。
小型グロース株と大型グロース株の相対指数は、2018年6月から大型優位(低下)が続き、2010年以来の水準まで低下しました。小型・大型の相対的な強弱は循環的に3年半前後で入れ替わっており、次は小型優位(上昇)の3年に移行していくと考えるためです。
米中の景気回復がカギを握る「最高シナリオ」
以上のざっくりとした見通しを基準に、私が考える「最高シナリオ」は、やはり日経平均の2021年のもみ合い相場が早々に上放れるシナリオです。ただし、そのためには米中の堅調な景気回復が必要です。
特に、中国の景気回復や株式市場の上昇が欠かせません。米国のITハイテク株の上昇だけでは日本株は上がり切れないでしょう。
一方、上海株やCSI300指数は下値水準を切り上げる波動を形成しており、決して弱々しくありません。中国の景気浮上策があとあと効果として出てくることを織り込んでいる可能性はあります。
あとは、海外投資家の日本株を見る目が変わることです。タイミング的には、東証の市場再編によって2022年4月から新市場への移行が予定されているため、海外投資家による評価が業績回復とともに高まれば、大幅に買い越しを続けるシナリオはあるとみています。
そのような状況になってくれば、日経平均は年内で32,800円処まで水準を切り上げることがあるかもしれません。
想定リスクから考える「最悪シナリオ」とは?
一方、「最悪シナリオ」はまさに「最高シナリオ」の逆です。海外景気が悪化する局面では日本株の大きな上昇は見込めません。新型コロナウイルス感染に関連する報道には株価は大きく下げることはないと思いますが、突然生じうる外的ショックには太刀打ちできません。
注意事項としては、天災リスクや地政学リスク、また現実的なところで米中摩擦の激化が3年ぶりに台頭する可能性が高いでしょう。
東京株式市場は国内の買い手が不在で、仕掛け売りなどに対する耐性が弱い状態です。また、この耐性が急に強くなることは考えられません。いったん水準を大きく下げると立て直しに時間がかかるため、3万円台回復には一層時間を要することになるでしょう。「最悪シナリオ」でみた日経平均の下値メドは24,500円処を想定します。