今週(12月3日~12月9日)の相場動向

相場回顧 BTC:金融市場の懸念が拡大するなか10000ドル超幅の暴落

ビットコインは、米パウエルFRB議長の発言によってテーパリング加速の可能性が示されるなか、軟調に推移した。さらに金融市場全体で新型コロナウイルスのオミクロン変異株への懸念が広がると、4日には一時BTC=488万円(43000ドル)付近まで暴落した。直後、エルサルバドルによるビットコインの買い増しも発表され、BTC=567万円(50000ドル)付近まで大きく反発したが、海外の暗号資産取引所ビットマートで大規模なハッキング事件が起きるなど悪材料が続き、再び売りが強まった。しかし、BTC=545万円(48000ドル)付近では底堅く推移し、オミクロン変異株への懸念が和らぐと株式市場とともに大きく買い戻され、一時BTC=590万円(52000ドル)付近まで上昇した。米CMEでの個人投資家向け先物取引の開始や、ヴィタリク・ブテリン氏登壇イベントへの注目などを受けてイーサリアムが強い値動きとなったことも相場を押し上げた。イーサリアムは今週にBTC建てでは史上最高値を更新した。週末にかけては他のアルトコイン物色の動きも強まり、ドミナンスが底値として意識される40%水準にまで低下するなか軟調に推移した。

 

来週(12月10日~12月16日)の相場予想

金融市場の先行き不透明感が和らぐまでBTCは方向感が出づらいか

金融市場では、新型コロナウイルス変異株による景気後退と、景気回復に伴う金融引き締め策への転換で揺れており、先行き不透明感が増している。

オミクロン変異株の症状やワクチン効果などのデータが明らかになるにつれて懸念は和らいでいる。そのなか来週には米FOMCを控えており、パウエルFRB議長の発言に注目が集まる。議会証言でテーパリング加速の可能性を示唆していることから同様の発言が慎重なトーンでなされると思われるが、よりタカ派的な内容となった場合には株式市場とともに下落する可能性は考えられる。

暗号資産市場では、このタイミングで暗号資産取引所やDeFiでの資産流出事件も起きているが、米国を中心に暗号資産、なかでもメタバース関連やその基盤となるイーサリアムへの興味関心は継続しており、企業や金融機関の新たな動きも見られる。また、ビットコインの価格は下落しているが、マイニングハッシュレートは5月の急落から再び史上最高水準まで回復している。

暗号資産市場の雰囲気はさほど悪くないが金融市場の先行き不透明感が和らぐまで方向感が出づらいか。直近上値としてはBTC=590万円(52000ドル)付近、下値としてはBTC=533万円(47000ドル)付近を意識する。