東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は反発となり節目の28,000円を回復しました。米国株高を受けて87円高の27,841円で寄り付いた日経平均ですが直ぐにマイナスに転じると9時10分過ぎには149円安の27,604円まで下落しました。その後持ち直すと昨日の終値を挟んでしばらく小幅に揉み合いましたが、10時30分頃から売りが優勢となり10時40分過ぎに164円安の27,588円まで下落すると61円安の27,692円で前場を終えました。38円安の27,714円で取引をスタートさせた後場の日経平均はまもなくしてプラスに転じ上げ幅を広げると13時40分ごろから一段高となり結局276円高の28,029円で取引を終え高値引けとなっています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。
2.個別銘柄等
昨日の米国市場で空運株が大幅高となったことや、国土交通省が航空会社に対して出した一律での国際線予約停止要請を取りやめたこともあって日本航空(9201)とANAホールディングス(9202)が高く、日本航空が5.5%高、ANAホールディングスも5.1%高となりました。昨日の米国市場でボーイング(BA)が大きく上げたことから関連銘柄も堅調で、なかでもIHI(7013)が6.0%高となり、ジャムコ(7408)も9.8%高となっています。また、愛知県地盤の第二地銀の愛知銀行(8527)と中京銀行(8530)が経営統合する方向で最終調整に入ったと伝わったことで愛知銀行が1.5%高、中京銀行も9.9%高となったうえ、業界再編の思惑から他の地銀株も堅調で名古屋銀行(8522)は5.2%高となっています。さらに目標株価の大幅な引き上げを受けて昨日に大きく上昇した大手海運株への買いが続き日本郵船(9101)が2.1%高、商船三井(9104)が5.2%高、川崎汽船(9107)も12.9%高となりました。
一方で回転ずしの「スシロー」を展開するFOOD&LIFE COMPANIES(3563)が11月の既存店売上高が前年同月比で3.7%減となり4ヶ月連続で前年割れとなったことから5.3%安となりました。コーエーテクモホールディングス(3635)も海外円建ての新株予約権付社債(転換社債)を発行し460億円を調達すると発表したことで将来的な株主価値の低下や株式需給の悪化などを懸念した売りが出て6.6%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は276円高となりました。前場はマイナスとなる場面もあり方向感に欠ける展開でしたが、米製薬大手のメルク(MRK)の日本法人が新型コロナウイルスの治療薬候補「モルヌピラビル」について厚生労働省に製造販売承認を申請したと伝わったことで後場に入って上げ幅を広げ節目の28,000円を回復しました。しかし、620ドル近く上昇し今年最大の上げ幅となったダウ平均と比べると物足りない内容で、依然として新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」への警戒感は強いといえそうです。なお、日本時間の22時30分に11月の米雇用統計が発表される予定で注目されるうえ、4日の午前零時には11月の米ISM非製造業景況感指数の発表が予定されています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)