清明節で4月2~4日が休場となった中国本土市場ですが、連休明けの5日に急反発となりました。これは中国証券監督管理委員会(CSRC)が適格海外機関投資家(QFII)の投資枠を500億ドル拡大して800億ドルにし、さらに人民元適格海外機関投資家(RQFII)投資限度枠を新たに500億元拡大し、700億元にすると発表したことがあります。さらに、今回のRQFIIの拡大投資枠の500億元は主にA株への投資に利用される予定だとも伝えられています。もともとRQFIIには集めた金額の20%しか株式市場には投資できないとの規則があったのですが、拡大枠はこの規制を受けないというわけです。これも当然株式市場にとってプラスです。もちろん、今回は投資枠の拡大ですので、実際に資金が流れてくるのは今後ということになりますが、中国政府が本土市場に資金を呼び込もうとする意図が明確に打ち出されたことが評価された格好です。

その一方で、同日に本来は上昇すべきはずの本土銀行株は逆行安になりました。これは温家宝首相が国内国有銀行の独占状態を打破しなければならないと激しく非難したためです。「中国の銀行はあまりにも容易に利益を得ることが出来る。少数の国営銀行が独占的地位を占めており、資金調達ルートを限定している」といった厳しい内容でした。この内容から考えるに、資金循環をもっと円滑にすべきという内容が含まれていると見られ、貸出金利の引き下げ要求や銀行業界の規制緩和など、大手国有銀行にとってはマイナスの材料が出てくるかもしれないため、今後注意が必要です。

今週は9日にCPIの発表、13日にGDPの発表と重要指標の発表が相次ぎます。もっとも、3月のCPIは3.3%~3.5%増、第1四半期のGDPは8.4%増程度になると見込まれ、波乱は起こらない可能性が高いと思われます。他方、今週は銀行の融資統計も発表される予定ですが、3月の元建て融資は前回指摘したとおり、8000億元程度であると見られるものの、公営住宅などの公共事業向けの融資が伸びているとも伝えられています。公共投資向けの融資が伸びるとなれば、これまで株価の落ち込んでいた公営住宅関連、セメント関連、建設関連などが反発するキッカケになりますので要注目です。