前回のレポートで日経平均と予想EPSのグラフを掲示し、SBG(9984)の大幅下方修正でEPSが下方に大きく屈折した形を見せたが、その後のフォローアップをしておこう。
その後、日経平均のEPSは再び増加傾向にあり、先週末時点で2,090円弱まで戻った。銀行や損保の上方修正が寄与したと思われる。これを受けて日経平均株価も上値が重いながらも持ち直している。チャートの通り、10月初旬につけたボトムから右肩上がりと見て取れるだろう。
さて、今年度上半期の決算発表が出そろった。日本経済新聞社の集計によれば上場企業の純利益の合計額は前年同期の2倍となり、同期間で過去最高を更新した。通期では48%増となる見通しだ。
一方、TOPIXの今期予想EPSはいまだに36%増益のままで、直近の決算発表における企業側見通しの上方修正を反映していない。従って今後はこの好業績を追いかける格好で徐々に織り込みが進み、株式相場は堅調に推移するだろう。
日経平均を構成するのはわずか225銘柄だから、上場企業全体の数値とは完全には一致しないものの、それでも日経平均構成銘柄は時価総額で市場全体の8割をカバーする。従って日経平均のEPSも今年度通期では5割弱の増益になると仮定すれば2,300円強となる。上述の通り、今は2,090円程度だから、ここから10%上方修正余地がある。
その予想EPSをPER14倍で評価しても日経平均株価は3万2000円を超える計算だ。予想業績から見て日本株は明らかに割安である。コロナ感染は海外では再拡大しているが日本は抑制されている。グローバルなリスク回避の観点からも日本株への資金シフトが起きてもおかしくない。原油等エネルギー価格の一服もコスト増が懸念されていた日本企業の業績面での追い風だ。日本株の投資環境は相対的にも良好である。
大型の経済対策も決定され、これから年末にかけて日経平均はいよいよ3万円台回復が視野に入ると思われる。無論、3万円は通過点で上値はさらにある。