円安トレンドへ転換する可能性

米ドル/円相場は月足の一目均衡表で見ると、抵抗帯(雲)の上限である112.46円付近まで円安が進行しています。雲の上限で一旦頭打ちになる可能性も当然ありますが、突破すると「三役好転」という強気相場(円安トレンド)入りのサインが点灯します。

一目均衡表では、過去9ヶ月間の高値と安値の中値を示す「転換線」が上昇に変わっている点も、円安バイアスがかかりやすい要因です。順調であれば、「転換線」は12月に向けて上昇基調が続くため、日本株にとってもフォローの材料となりそうです。

そんな短期的な見通しに加え、年足チャートを見ると当面の円安トレンド入りを示唆しているようです。年足ローソク足は2020年まで円高方向に5年連続(2016~2020年)で陰線を形成しました。

2021年に入って変わってきたのは、2015年高値(125.84円)を起点とした右肩下がりの下降トレンドラインを上抜けそうになってきたことです。完全に抜けるかどうかは、年足が確定する年末まで待たないといけませんが、上抜ける陽線で終えると、円安トレンドへの転換の可能性を高めるものになります。

足元の円安でより重要な点は、2020年に新型コロナショックによって短期間で乱高下したレンジ(101.17~112.21円)の上限を上抜けてきたことです。そのレンジの値幅が11円程度なので、レンジ上限の112.21円に足すと123円程度の上値余地が出てきたような気がします。

円安メリットが大きい自動車関連株

円安は輸出比率が高い自動車関連やその周辺の部品メーカーが恩恵を大きく受けます。特に米国の販売比率が高い、ホンダ(7267)やSUBARU(7270)には大きな円安メリットがもたらされることが予想されます。

ホンダ株の長期チャートをご覧になられたことはあるでしょうか。史上最高値は2007年の4,940円、そしてリーマンショックによる株価急落後の2008年12月に1,643円の安値をつけました。

実は、そこから14年間、この高値と安値のレンジ内で上げ下げを繰り返すボックス相場が続いています。そして何よりも重要なのが、高値と安値の2つの数値を足して2で割った3,300円前後の水準。この水準がここ14年間の相場の軸(中心)となってきました。

その軸から上にも下にも大きく離れることができないのですが、かなり長期間でエネルギーだけは蓄積されていることでしょう。ボックス相場を上放れる発散エネルギーとなってくれば、2022年に向けて伸びしろが最も大きい自動車株になる可能性を秘めていると見られます。