オセアニア通貨と金利の関係

5日に豪州、そして6日にNZの金融政策会合が予定されている。ともに、前回の会合では、いわゆるデルタ株の影響などにより、予想より「ハト派」の結果となった。今回は、とくにNZについては利上げ予想も多い。ではそれが為替相場にどう影響するだろうか?

豪州の前回の金融政策会合は9月7日。ここでは現在行っている債券購入の減額、いわゆる「テーパリング」開始を決めたものの、一方でデルタ株の影響などにより感染が再拡大していることなどを理由に、債券購入自体は当初示していたより長く、2022年まで続けるとなったことから、予想より「ハト派」の結果とされた。

この後から、豪ドル/米ドルは下落が広がったようにも見えるが、ただこの豪ドル/米ドルは豪米金利差と一定の相関関係で推移してきた(図表1参照)。これを見ると、前回の豪州の金融政策会合の後から豪ドル安・米ドル高となったのは、上述のように豪州中銀の「ハト派」姿勢とともに、とくに9月下旬のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降の米金利急騰の影響も小さくなかったのではないか。

【図表1】豪ドル/米ドルと豪米金利差 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

以上のことは、NZドルについても参考になるのではないか。上述のように、NZ中銀は、8月18日に行われた前回の金融政策会合で利上げを見送った。こういった中でNZドル/米ドルは下落に向かったが、それは間もなく収束した。そしてこの8月NZ金融政策会合以降のNZドル/米ドルの動きは、NZ米金利差と高い相関関係で展開した(図表2参照)。

【図表2】NZドル/米ドルとNZ米金利差 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

さらに興味深いのは、NZドル/米ドルに、金利差ではなく米金利のみを重ねてみると、一定の相関関係が続いてきたということ(図表3参照)。これを見ると、NZドル/米ドルは、かなり高い割合で、米金利で決まってきた可能性がありそうだ。

【図表3】NZドル/米ドルと米金利 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

上述のように、6日予定のNZ金融政策会合では利上げが予想されている。では予想通り利上げとなったらNZドル高となるのか。悩ましいのは、9月FOMC以降、早期テーパリングの可能性を織り込む形で米金利も上昇再燃になっているということ。

すでに見てきたように、NZドル/米ドルは、より米金利の影響を大きく受けるということが続いているなら、NZ利上げでも、米金利上昇が続くかの方が、NZドル/米ドルの行方を考える上で重要になる可能性があるのかもしれない。