ここ近年、8月相場が低迷すると、9月相場は堅調なケースが多いです。2020年は8月に上昇したことで9月は比較的小動きでしたが、2017年から3年間は堅調に推移した経緯があります。そういった点で、2021年は以下の2つのポイントが重要となります。

東証1部の騰落レシオから相場を読む

まずは、東証1部の騰落レシオです。騰落レシオは値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率で、一般的には25日間の平均で示します。

100%が値上がり銘柄数と値下がり銘柄数がイーブンの状態となります。120%以上で天井圏に近く、70%以下で底値圏と判断しますが、期間がより長い75日平均と併用すると違った見方ができます。

最近の傾向では25日平均が80%を割れるとまもなく上昇に転じる傾向にありますが、25日平均が75日平均を継続して上回れない状況が続いています。もみ合い相場ならではの現象で、指標面での弱さが継続しているといえます。

しかしながら、8月30日は75日平均の97.9%に対して25日平均は104.7%まで上昇し、3日続けて25日平均が上回ってきました。過去、25日平均が75日平均を明確に上回るようになってくると、相場基調が強くなることが繰り返されています。指数が冴えない中でも物色の広がりが継続するかが、先高期待を強める要素となります。 

東証1部の価格帯別累積売買代金の推移にも注目

次に、図表に示した、東証1部の価格帯別累積売買代金の推移です。

年初来、TOPIXベースで1,950~1,960Pの価格帯で約66兆円の商いをこなした上値の壁があり、そこに近くなると戻り売り圧力が強くなることが推測できます。その価格帯では直近8月13日に1,956Pで戻り高値をつけており、壁ごと超えることができれば一段高につながるかもしれません。

【図表】TOPIXと東証1部の価格帯別累積売買代金(2021/1/4~8/27)
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチが作成