雇用統計まで米ドル高、発表後米ドル反落
 

6日に注目の米7月雇用統計発表が予定されている。さて、雇用統計発表日の米ドル/円だが、過去3ヶ月連続で米ドル陰線(米ドル安・円高)引けとなってきた(図表1参照)。雇用統計発表まで米ドル高傾向が続くものの、発表後は米ドルが反落するといったパターンだ。このパターンが今回は少し変わる可能性が注目される。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2021年4月~)
出所:マネックストレーダーFX

過去3ヶ月連続で、雇用統計発表日の米ドル/円が米ドル陰線引けとなったのは、雇用統計で主に注目されるNFP(非農業部門雇用者数)の影響だろうか。確かに、5月と6月に発表されたNFPは予想を下回る結果だった(図表2参照)。ただ7月に発表されたNFPは、予想を上回る結果だったにもかかわらず米ドルは反落、むしろこの雇用統計発表日はそれまでの米ドル高から米ドル安へ転換するタイミングと重なるところとなった。

【図表2】NFPの予想と結果の推移(2021年1月~)
出所:マネックス証券「経済指標カレンダー」

過去3ヶ月連続で、雇用統計発表に米ドル反落が繰り返されたのは、米ドル高トレンドの影響が大きかったのではないか。1月末の102円台から米ドル高・円安の流れが続いてきた。その中では、注目イベントである米雇用統計発表を受けてさらに米ドル高が加速することを警戒し、市場参加者は雇用統計発表前に米ドル買いに動くことが多かったのではないか。

そうであれば、NFPが予想を下回ると素直に米ドル売りが入りやすかっただろうし、先月のようにNFPが予想を上回る結果でも、すでに米ドル買いに動いていたことから、さらなる米ドル買いが行き詰ると、米ドルは反落に転じたということではないか。

上述のように、先月の雇用統計発表では、NFPが予想より良かったにも関わらずさらなる米ドル高が限られた。すると、むしろそれまでの米ドル高の調整が本格化した形となり、その後は米ドル反落が広がるところとなった。こういった中で、1月以降の米ドル/円の安値と安値を結んだトレンドラインを大きく割り込み、チャート的にはそれまでの米ドル高の流れが崩れた形となった(図表3参照)。

【図表3】米ドル/円の週足チャート(2020年11月~)
出所:マネックストレーダーFX

すでに述べたように、この数ヶ月は雇用統計発表前まで米ドル高傾向が続き、発表後は米ドルが反落するパターンが繰り返されたが、それは米ドル高・円安の流れが続いていた影響が大きかったのではないかと私は考えた。そうであるなら、その米ドル高の流れが崩れて初めて迎える今回の雇用統計発表において、米ドル/円などの反応は変わってくる可能性があるのではないか。

ちなみに、今回、NFPの予想は92.5万人(前回は85万人)の増加、失業率は5.6%(前回5.9%)といった具合に、ともに前回より改善するといった予想になっている(8月1日現在)が、これまでより予想比に対して素直な反応、つまり予想より良かったら米ドル買い、悪かったら米ドル売りといった反応になる可能性に注目したい。