豪ドル/米ドルと52週MA

豪ドル/米ドルは、先週まで3週連続で52週MA(移動平均線)を下回った(図表1参照)。経験的には、1ヶ月以上といった具合に「長く」52週MAを下回る動きは一時的ではなく、継続的、つまり豪ドル安トレンドが展開している可能性が高いと言える。足元の52週MAは0.75米ドルなので、このまま今週末も豪ドル/米ドルがそれを下回るようなら、豪ドル安トレンドへ転換した可能性がさらに高まることになりそうだ。

【図表1】豪ドル/米ドルと52週MA(2005年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

それにしても、なぜ最近にかけて豪ドル安・米ドル高が広がってきたのか。ちなみに、豪米の10年債利回り差などにはこの間大きな変化は見られない(図表2参照)。金利差には大きな変化がない中で、とくに6月後半以降広がってきた豪ドル安・米ドル高の動きを説明できそうなのは米ドル買いの拡大ではないか。

【図表2】豪ドル/米ドルと豪米金利差(2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジションは、まさに6月後半以降売り越しの縮小(米ドル買い戻し)が続き、先週はついに2020年3月「コロナ・ショック」以降では初めて買い越しに転換した(図表3参照)。

【図表3】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2020年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

以上のように見ると、最近にかけての豪ドル安・米ドル高の拡大は、6月16日FOMC(米連邦公開市場委員会)以降続いてきた米ドル買いの影響が大きいということではないか。そしてその結果、豪ドル/米ドルは52週MAを「長く」下回り、豪ドル高から豪ドル安へトレンド転換した可能性が高まってきたというわけだ。

ちなみに、豪ドル安トレンドが展開する中では、経験的に豪ドルは52週MAを1割以上下回るまで下落する可能性が高かった(図表4参照)。足元の0.75米ドルといった52週MAを1割以上下回るなら0.675米ドルといった計算になる。以上を参考にすると、0.67米ドル割れを目指すような豪ドル安トレンドが展開している可能性が高くなっているということになるのではないか。

【図表4】豪ドル/米ドルの52週MAからのかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成