米ドル/円と金利の関係

米ドル/円の上値の重い展開が続いている。この一因はテクニカル要因だろう。先週、米ドル/円が急落し、110円割れとなったことで、1月の102円から続いた上昇局面におけるトレンドラインを割り込むところとなった(図表1参照)。では、米ドル/円はどこまで下落するだろうか。

【図表1】米ドル/円の推移(2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降、米ドル/円の動きを比較的うまく説明してきたのは日米2年債利回り差だった(図表2参照)。この主役である米2年債利回りは先週の0.2%割れから、今週は一時0.25%まで反発したが、その後は上げ渋る展開となった(図表3参照)。これは、2年債利回りは金融政策を反映する金利なので、今週行われたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長による議会証言で、金融緩和の見直しについて慎重な受け止め方が広がった影響が大きいだろう。

【図表2】米ドル/円と日米2年債利回り差(2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表3】米2年債利回りの推移(2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

米2年債利回りは、90日MA(移動平均線)からのかい離率が一時プラス60%以上に拡大し、記録的な「上がり過ぎ」となったが、その後かい離率がプラス10%程度まで縮小した(図表4参照)。上述のように先週にかけて米2年債利回りが一時0.2%割れまで低下したのは、「上がり過ぎ」の反動だっただろう。

【図表4】米2年債利回りの90日MAからのかい離率(2010年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

「上がり過ぎ」の是正を受けて上昇再燃となったものの、今週のパウエルFRB議長の議会証言でさらなる上昇の手掛かりを失った形になったようだ。目先的には、2年債利回りなど米金利の低下余地が試される中で、米ドル/円も下落リスクのくすぶる状況が続く可能性がある。