◆経済の分析では指数・対数をよく使うのだが、僕は学生時代、数学の勉強ではこの分野が苦手だった。根っから頭が悪いせいか、指数・対数というものを「感覚的に」理解できないのである。当時は悩んだが、今ではその理由が分かる。世の中の事象は指数・対数で表すほうがうまく捉えられることが多いのに、人間の頭脳はリニア(直線的)にしか働かないからだ。

◆「テクノロジーの進歩は速い」と言えば、誰もが首肯し、異を唱えるひとはいない。しかし、どのくらい速いのか、について答えられるひとはどれほどいるだろう。かく言う僕もイメージがわかないが、昨今の言葉で言えば、エクスポネンシャル(指数関数的)な速さだという。例えばスマートフォンの普及率などはまさに指数関数で表される。

◆「空飛ぶクルマで旅客輸送」。土曜日の日経新聞朝刊の1面を見て驚いた方も多かったのではないか。日本航空(JAL)は2025年度に「空飛ぶクルマ」を使った事業に乗り出す。ANAも25年度に同様のサービスへの参入を検討している。技術的な問題はクリアしていて、あとは法整備とコストの問題という。すでにクルマは空を飛ぶのである。先行するウーバーの最終的なゴールは「空飛ぶクルマ」のライドシェアで、既存のクルマを所有するインセンティブをなくすことだという。

◆少し前は夢物語かSF(サイエンス・フィクション)の世界のことと思われた技術が、いまや科学的現実 - SF(サイエンス・ファクト)- になりつつある。まさにエクスポネンシャル・テクノロジーだ。ここに投資のチャンスがある。テクノロジーの進歩に賭けよう。そんなこと、わかっているって?いや、テクノロジーの凄さは、きっとまだまだ過小評価されているだろう。なぜならテクノロジーはエクスポネンシャルだが、人間のアタマはリニアだから。その差がリターンの源泉であり、それは時間の経過とともに拡大していく。式で書くと…いや、やめておこう。数学ができないことがバレてしまうので。