ウエルシアを取り巻く下落要因とは

7月第2週は後半から国内企業の決算発表が少し多めになります。ウエルシアHD(3141)、イオン(8267)やセブン&アイ・HD(3382)など主力の小売企業の他、海外の景気動向を図る上でも、竹内製作所(6432)や安川電機(6506)の決算内容にも注目したいところです。

ドラッグストア業界で2020年の売上高トップであるウエルシアHDの株価が軟調です。6月2日安値の3,235円を起点に順調に戻りを試していましたが、200日移動平均線を前にして失速。6月30日の大幅安をきっかけに本格調整に至りました。

しかし、下落したのは独自要因ではありません。

6月29日に決算を発表した同業であるドラッグストアのスギHD(7649)が2022年2月期の第1Q(3-5月)の連結営業利益で前年同期比19.7%の減益着地となり、同社株の大幅下落で連れ安に見舞われました。

そして、7月2日はクスリのアオキHD(3549)が急落。今期の営業利益が市場コンセンサスを下回ることが売られた理由だったようです。またもや連れ安を喰らいました。

ドラッグストア業界は寡占状態が続く

さて、7月7日発表の自社の決算への反応はどうでしょうか。ポイントは、2022年2月期第1Q(3-5月)の着地と、会社側が前期決算を発表した際に示した、今期の通期営業利益見通し443億円(前期比3.1%増)を修正するかどうかでしょう。

ちなみに、通期の市場コンセンサスは456億円です。据え置きや下方修正ならネガティブな反応が予想されますが、ここ最近の連れ安である程度織り込んでいれば、有力な押し目買い水準になる可能性があります。

株価は2018年10月につけた高値3,280円に至るまで右肩上がりが続きました。その後は大幅調整を挟みながら、2020年7月に5,035円まで上昇。そして、直近安値が3,235円と2018年10月高値の水準まで調整が進んでいます。

要するに、今が「前の高値が今の安値になるか否か」の注目のタイミングだということです。今の安値を起点に前の高値までさかのぼる動きが「S字波動」になる可能性があるからです。「S波動」は長いトレンドの中段波動で現れる動きであることから、今走っている長期上昇相場はまだ中間地点にすぎないという見方ができます。

ドラッグストア業界はシェア拡大のために出店競争が激化しており、人件費などがかさみ引き続き厳しい事業環境です。業界再編の進展という意味では、2021年の統合が予定されているドラッグストアもありますが、業界トップ・上位が寡占していく状態が続くと思われます。

【図表】ウエルシアホールディングス(週足 2016/1/8-2021/7/5)
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成