金利差との関係

英ポンド/円は、6月に入ってから多くのクロス円同様に、一時大きく反落した。この主因は、それまで英ポンド/円の動きをうまく説明してきた英日10年債利回り差から見て、「上がり過ぎ」となっていたことの反動ではないか(図表1参照)。

【図表1】英ポンド/円と英日10年債利回り差 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ところで、そんな英日10年債利回り差との関係で見ると、先週にかけて改めて英ポンド/円は「上がり過ぎ」気味になってきたようだ。ただ、この英ポンド/円に限らず、為替相場では米ドル/円やユーロ/米ドルなど、6月FOMC(米連邦公開市場委員会)以降、金融政策を反映する2年債利回りとの関係が強くなった。それを踏まえた上で、英日2年債利回り差との関係で見ると、足元の英ポンド/円は、必ずしも「上がり過ぎ」懸念が強いということでもなさそうだ(図表2参照)。

【図表2】英ポンド/円と英日2年債利回り(2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ポジション等との関係

もう1つ、一時155円を大きく上回った英ポンド高において懸念されたのは、「買われ過ぎ」ということだった。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の英ポンド・ポジションは、最近にかけて3万枚前後と、経験的にはかなり「買われ過ぎ」懸念が強くなっていた(図表3参照)。ただ、そんな英ポンド・ポジションも、先週は買い越しが2万枚以下に急縮小となり、これを見る限り、「買われ過ぎ」懸念はとりあえず是正されたようだ。

【図表3】CFTC統計の投機筋の英ポンド・ポジション (2016年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

最後に、5年MA(移動平均線)とのかい離率を確認してみよう。同かい離率は、足元でプラス10%程度まで拡大してきた。ただ、経験的に中長期的な「上がり過ぎ一巡は、同かい離率が20~30%まで拡大したところで起こっていた(図表4参照)。その意味では、まだ英ポンド/円が中長期的にも「上がり過ぎ」の限界には達してはいないということではないか。

【図表4】英ポンド/円の5年MAからのかい離率 (1995年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成