米ドル/円 日足
週間予想レンジ:109.00~111.00
メインストラテジー:押し目買い
・米ドル全体反発
・保ち合い継続
・ブレイク待ち
アナリシス:
米ドル/円相場は先週値幅限定だったが底固く推移した。先々週の陰線を否定できなかったものの、109円関門の維持をもって支持ゾーンの健在を確認し、ブル基調の維持を示唆した。もっとも、先々週の流れに続く形で言うならば、4月半ばから繰り返された週足における陰線、陽線が交代するリズムを継続し、想定した通りの展開で大きな流れは変わらない。
既述のように、6月3日の大陽線、翌6月4日の大陰線に帳消しされたため、本来一段と反落幅を拡大させてもおかしくなかったが、先週の持ち直しで内部構造を再確認でき、これからの値動きに紆余曲折があっても米ドル高/円安の流れを強めていくだろう。先々週高値110.34円の再打診があれば、年初来高値の更新を目指す見通しだ。
繰り返し指摘してきたように、メイン支持ラインは、年初来安値から維持されてきただけに、米ドル/円のメイン構造に変わりがなく、保ち合いがあってもスピード調整の一環と見なされ、米ドル全面安のなか、対円だけ強気変動構造が維持されてきた。先週米ドル全体の切り返しもあって、米ドルの反発が見られる場合、まず対円の上昇が米ドル全体をリードしていくことも想定される。
円は主要外貨のうち最弱であり、4月から米ドル全体が大きく反落、また一旦2月安値を割り込んでいたにも関わらず、米ドル対円は強気変動を維持、主要クロス円の軒並み高値更新もあって、円の地盤沈下が目立つことから、円全体のベアトレンドは安易に修正されず、紆余曲折があっても円安が継続されるとみている。
そもそも4月に入ってからの反落は、調整小波として見なされており、終値でみれば、年初来上昇幅に対して38.2%反落の範囲に留まり、許容範囲に収まったところも大きかった。スピード調整の一環として許容範囲内なので、切り返し自体もメイントレンドへの復帰とみなしてきたため、先週の値動きを含め、保ち合いの継続があってもあくまで上昇波の途中段階と位置付けている。
5月12日の大陽線、米消費者物価指数(CPI)の急伸につられた値動きとされるが、同日米ドル/円の上昇幅が明らかに米ドル全体(ドル指数)より大きいため、米ドル反発する場合、円売りが一番仕掛けしやすかった側面を物語っている。その後の保ち合いでは、一旦12日安値に迫ったものの、下値限定で従来の役割を維持したため、あくまでレンジ内の調整と位置付けたのも正解であり、5月27日の急伸、上放れの蓋然性を示した。先々週の高値再トライもその流れの一環としてみている。6月4日の米雇用統計に影響され、一旦大きく反落したものの、「コップ中の嵐」との位置付けで先週の底固い推移につながり、従来の見方を強化したのではないだろうか。
4月安値からの上昇は、大分波乱含みの展開を果たしてきたため、素直な高値打診があれば、上昇モメンタムの強化につながり、何らかの材料で一気に上放れを果たす可能性がある。その反面、4月半ばから繰り返してきた変動リズム、陰線と陽線の交代自体は、先週陽線の値幅が限定された上、ザラ場における高値打診がみられなかったため、保ち合いの一環としてなおモメンタム限定となる公算が大きい。この場合、110円前半のトライ、さらに年初来高値の照準に時間がかかるリスクも無視できない。ブレイク待ちの段階なので、ブレイクなしの性急な判断は避けたいところだ。6月4日の大陰線を完全に否定できるかどうかが目先のポイントとなる。
より長いスパンでは、年初来の続伸は、2015年高値から引かれてきた抵抗ラインのブレイクを示し、2015年高値から形成された大型トライアングル型の保ち合いに非常に長い歳月がかかっただけに、ブレイクを果たした後の上昇トレンドが大型化されていく公算が大きく、メインシナリオとして維持されている。上昇モメンタムが再開された分、早晩コロナショック後の高値だった111.72円が射程圏に入り、その後2020年高値の112.22円の再更新を果たすだろう。引き続きメイントレンドに徹したスタンスで臨みたい。
豪ドル/円 日足
週間予想レンジ:84.00~87.00
メインストラテジー:押し目買い
・弱含みも高値を維持
・頭重くても値幅限定
・動意薄でも上値志向
アナリシス:
豪ドル/円相場は先週やや値幅が拡大し、陰線で大引けしたものの、先々週と同様、大した示唆がなかった。そもそも先週の値幅拡大に関する見方は、先々週との比較になるが、先々週の値幅自体が高値圏での保ち合いの一環として極めて値幅が限定的だったため、基本的な見方は全く変わっていない。
繰り返し指摘してきたように、5月の高値再更新以降、値幅が基本的に限定され、高値圏における保ち合いの先行を示唆したため、モメンタムの再開を待つ状態は変わらない。5月10日に一旦高値を再更新してから反落し、その後5月末安値83.96円まで続いたものの、その後の切り返しで下値限定を証拠付け、先週までの値幅限定を高値圏での保ち合いの一環としてみなしている。この意味では、先週の弱含みの展開を過大解釈すべきではなく、あくまで高値圏における推移の一環として位置付けている。
また、84円関門前後の支持を維持できるかどうかは重要であり、維持できればメイン構造や基本的な見方は変わらない。先週の弱含みで再度トライされてもおかしくないが、本格的な下放れなしではブル構造を維持するだろう。高値圏での変動、弱含みの傾向があっても「コップの中の嵐」と見なされ、必要以上の読みは不要と言えそうだ。
先日述べたように、3月末安値からの続伸、4月20日高値のブレイクをもって上昇波の再開を示唆した。これは言ってみれば、4月20日の罫線が示した「強気リバーサル&アウトサイド」のサインが「ダマシ」であったこと、ならびにブル構造も証明されたことで、これから紆余曲折があってもブルトレンドの一段延長につながるとみている。
2月高値85.48円に対する一旦更新は、2月高値から形成された一旦「頭打ち」を示唆するフォーメーションの可能性を否定し、大型「ダマシ」の否定でブルトレンドへ復帰するのみでなく、本来上昇モメンタムの一段加速を示唆した。しかし、その後の反落で高値圏での保ち合いや再調整が進み、高値圏における保ち合いの継続自体が強気サインの1つとみなしている。
大事なことは、5月10日の高値更新自体、一時的に留まったものの、軽視すべきではないサインであった。なにしろ、そもそも3月の一旦高値更新は、2月高値を超えたものの、一転して反落し、陰線で大引けしたことで高値更新自体の「ダマシ」の可能性も示唆していたからだ。5月の高値再更新は「ダマシのダマシ」と化し、反落波への早期転換を否定したサインとみなしている。
要するに、「ダマシのダマシ」の発生でかえって上昇トレンドの土台を作り、メイントレンドとしてのブル構造を強化したわけだ。言ってみれば、3月高値から時間をかけて高値圏での保ち合いを形成し、4月20日高値の更新をもって同保ち合いの上放れを示し、コロナショック後安値を起点とした上昇波の加速を示唆していた。そのため、その後の高値更新を当然の成り行きとみなしたわけである。その後の反落は高値更新後のスピード調整とみなされ、先週まで続いている。
テクニカルの視点では、「ダマシ」があったほうがより確率が上がり、また蓋然性が高まるとされ、3月高値からの値動きを結局高値圏での保ち合いと見なしたほうが整合性があると考える。さらに、3月にて2月高値に対する一旦高値を更新し、一旦失敗したようにみえたのも保ち合いの一環として解釈されやすいため、その後の切り返しをもって元「トライアングル」の上放れを果たした後、元抵抗ラインの延長線に再打診することで、また支持を再確認できたところも大きなサインと見られ、84円関門前後の支持が重要視されるわけだ。
2月高値からの保ち合い自体を「トライアングル」というフォーメーションとみなすため、高値更新をもって上値を追う環境に恵まれた。3月高値からの最大調整幅は約3円なので、その値幅をそのまま上乗せして計算すれば、88円台前半のターゲットを得られるから、しばらく上昇余地を拡大しやすく、豪ドル/米ドルの値動き次第では、また再度高値を追う展開になると想定される。そのため、先週の弱含みの推移はあくまでブレイク前の足踏みと位置付けている。場合によっては一旦84円関門の割り込みもあり得るが、深押しを回避できるなら、早期にブル基調への復帰が想定される。