ついに6月相場入りとなりましたが、5月の月足は小幅な陰線で終えており、株価は戻しきれなかった印象です。また、戻しきれなかった要因となったのが、月末下落のアノマリーの発生です。

このアノマリーは2020年9月から続いており、5月も月末の下落で月足が陰線となってしまいました。

そのような中今回も新たな窓が発生しており、このまま戻りが続くのか、あるいは押し返されてしまうのか、といった点が注目されるところです。いつものように前回のコラムで指摘したことを振り返りながら、今後の展開についても解説していきたいと思います。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓

前回指摘したことの振り返り

前回のコラムでは、「このまま5日移動平均線上や支持線上を維持するようですと、下向きの25日移動平均線にぶつかることになります。その際、どちらの線をブレイクするのかが注目されます。仮に上値の抵抗となる25日移動平均線を上回って維持するようですと、75日移動平均線までの上昇や5月10日と11日にあけた窓を埋めることが期待される」と指摘しました。

5月26日、27日は下向きの25日移動平均線に上値を押さえられると同時に、上向きの5日移動平均線がサポートになって挟まれた状態でしたが、5月28日に窓をあけて上昇が始まると、指摘した75日移動平均線に接近する結果となりました。

ただ、その後は75日移動平均線を上回ることができなかったために、5月10日と11日にあけた窓を埋める水準には届いていません。そのため、6月1日現在では75日移動平均線と5日移動平均線に挟まれた状態になっており、今度はこれらの移動平均線のどちらをブレイクするかが注目ポイントになってきました。

新たな窓の発生と今後の展開について

では今後の展開を解説する前に、今回発生した窓について考えてみたいと思います。今回は5月27日と28日の間に窓が発生していますが、この窓はどの窓に分類されるのでしょうか。

みなさん既にお分かりだと思いますが、この窓は過去の値幅の範囲内で発生した窓と考えられ、コモンギャップ(=普通の窓)ではないかと思われます。そのため、この窓を埋める水準まで下落する場面があったとしてもトレンド発生するような状況にはならない可能性があります。

そうなりますと、窓以外にトレンド発生の要因になりそうなのが、前述の75日移動平均線と5日移動平均線のどちらをブレイクするかになるのです。

仮に75日移動平均線をブレイクするようですと、5月10日と11日にあけた窓を埋めることが期待されると同時に、株価も上昇トレンドを回復する可能性が出て来ます。その反面、5日移動平均線をブレイクするようですと、25日移動平均線も下回ってもち合いになったり、再び下落基調に変化したりすることが考えられます。

日経平均は相変わらず窓が発生するもののトレンドには影響していないため、株価の先行きが読みづらい状況ですが、もち合い(株価の方向がはっきりしない)の時こそトレンド発生のタイミングに注意し、損失を発生させないようにしたいところです。