「九陽連」は今後3万円突破に向けての強気サインとなるか
日経平均は5月13日安値から反発基調に転じ、下向きで推移している25日移動平均線(28,600円前後)を上回る勢いをみせています。5月28日までの上昇の間には、日足のチャート上で「九陽連(9日間陽線が続くこと)」を形成。2007年2月の「十陽連」以来の連続陽線記録です。
1990年以降の連続陽線記録を振り返ると、約30年間の中で「五陽連」以上となった局面は今回含め91回ありました。そのうち95%が「八陽連」までに終わっていることを踏まえると、「九陽連」までいったこと自体が歴史上でも稀で、スーパームーンの皆既月食よりも珍しい現象なのかもしれません。
一時は28,500円の下値のフシを下回ったことで一段安を懸念する場面もありましたが、「九陽連」は当面の底割れを否定する動きと言えるでしょう。次に2月高値を起点とした上値抵抗線を超えることができれば、3万円突破に向けての強気サインになるとみられます。
日経平均の過去6月相場を振り返ると、1996年~2020年までの25年間における騰落状況は18勝7敗と大幅に勝ち越しでした。
2019年は4月高値からの調整が一巡し、月前半から切り返しました。2020年は新型コロナショックによる急落後の安値から急反発した後、一旦高値を付けたタイミングとなりました。基調に変化が生じやすい月でもあり、2021年は6月15日-16日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)が相場を動かす注目イベントとなりそうです。
中国株式市場の動きにも注目
中国株式市場が反発基調を強めていることも支援材料です。上海総合指数は200日移動平均線上で形成してきたボックスを上抜けてきました。
香港証券取引所が発表した統計によると、5月25日は香港から中国本土株に投資する「滬股通(上海コネクト・ノースバウンド)」と「深股通(深センコネクト・ノースバウンド)」の合算ベースで、217億2,300万元の買い越しとなり過去最高を記録したようです。
香港のブローカーを通じた海外投資家による買いの公算が大きいとみています。グローバル全体で年初来の騰落率をみると、主要国では中国主要指数の出遅れ感が最も強いことが要因として挙げられます。
一方、中国株の次に出遅れ感の強い日本株には、海外投資家は依然として売り越し基調です。2015年以降、6月は売り越す傾向にあるのは気がかりですが、最近のコア30銘柄を中心とした大型株の強さと言い、「九陽連」は資金流入の結果なのかもしれません。