東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に反発となりました。168円安の27,875円で寄り付いた日経平均は直後に222円安の27,821円まで下落した後戻すとまもなくしてプラスに転じ9時30分過ぎに124円高の28,169円まで上昇しましたが、伸び悩んだことで再びマイナスに転じると10時20分過ぎに153円安の27,890円まで下落しました。しかし、持ち直すと昨日の終値を挟んで揉み合う展開となり13円安の28,030円で前場を終えました。36円高の28,080円でスタートした後場の日経平均はまもなくしてマイナスに転じ12時50分に12円安の28,032円まで下落しましたが、節目の28,000円を前に下げ渋ると買いが優勢となり14時30分過ぎには132円高の28,176円まで上昇しました。その後引けにかけて上げ幅を縮めた日経平均は結局53円高の28,098円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

ANAホールディングス(9202)が4.4%安となりました。発行可能株式総数を10億2000万株と現行の5億1000万株から倍増させるため定款を変更すると発表したことで増資による希薄化懸念が意識され売りがかさみました。スマホゲームのネクソン(3659)も5.1%安となりました。暗号資産のビットコインが急落するなか4月下旬に1億ドル相当のビットコインを購入したと発表していたこともあって評価損を懸念した売りが出ました。また、昨日の米国市場で鉄鋼大手のUSスチール(X)や非鉄大手のアルコア(AA)が大幅安となった流れを引き継ぎ日本市場でも日本製鉄(5401)やJFEホールディングス(5411)、神戸製鋼所(5406)、三井金属鉱業(5706)、住友金属鉱山(5713)などが安く、日本製鉄が4.8%安、JFEホールディングスが6.0%安、神戸製鋼所が3.8%安、三井金属鉱業が3.9%安、住友金属鉱山が4.9%安となり、三井金属鉱業は年初来安値を更新しています。一方で国内大手証券が目標株価を引き上げたことでヤマハ発動機(7272)が3.7%高となったほか、太陽誘電(6976)も外資系証券が投資判断を引き上げたことで4.9%高となり、ヤマハ発動機は年初来高値を更新しています。さらに岩崎電気(6924)が発行済株式総数の4.35%を上限とする自社株買いを発表したことで8.1%高となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は53円高となりました。暗号資産のビットコインの急落などを受けて昨日の米国市場が続落となったことで売りが先行しましたが、節目の28,000円を割り込んだところで昨日に続いて押し目買いが入るとプラスとなりました。本日も28,000円近辺での底堅さをみせた格好ですが、下値への不安も残るなかで明日以降も28,000円を維持できるかが引き続きポイントとなりそうです。なお、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や5月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表されるほか、23時には4月の米景気先行指標総合指数の発表が予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)