米国、日本ともに株価が不安定になってきました。ただ、米国市場ではナスダックや米半導体指数はすでに調整局面にあったわけで、NYダウ平均も史上最高値を付けた5月10日の陰線「トウバ足」から少し下げただけ。先週末のNYダウ平均は前半3日間で1,190ドル下落しましたが、後半の2日間で794ドル上昇し、強い持ち直しをみせました。
ところが、週明けの日本株は米国株の反発を好感できずに、再び28,000円割れ。寄り付きは上昇して始まったものの、後場を通じて下げ幅を広げる展開となりました。
なぜ、米国株の上昇を好感できなかったのか。いえ、全く好感できなかったわけではなく、寄り付きで高く始まった段階で織り込んでしまっただけです。日経平均は先週末にすでに大幅反発していただけに、寄り付き以降は買いが続かなかったのでしょうか。そうではなく、買いが続いても逆らえないものがあったのです。
それは、テクニカル分析の用語でよく出てくる「ネックライン」の存在です。ネックラインとは、3月5日安値(28,308円)、3月24日安値(28,379円)、4月21日安値(28,419円)をつないで延長した線です。
つまりは、寄り付きの上昇でネックラインまで到達してしまい、寄り付き天井になっただけなのです。先週の急落で株価が「ネックライン(下値支持)」を下回ったことで、反発の際にはネックラインが上値抵抗になるという、教科書通りの動きに従っただけなのでしょう。
しかし、問題はここからです。そのネックラインを上に抜ければ、2月高値以降のもみ合いに回帰できます。一方、底割れ(先週の終値ベースの安値27,448円を割り込む)となると、一段安のパターンになるでしょう。
決算発表がようやく一巡しました。印象に残ったのは、5月12日に発表したNEC(6701)です。22.3期通期の連結営業利益予想(IFRS)を1,200億円(前期比22.0%減)と発表し、市場コンセンサス(1,693億円)を下回ったことで5月13日は14%も売られました。
証券会社の評価は最上位が多かったのですが、いつも期待外れに終わる印象です。会社側によると、戦略的費用を積極投入することに加え、前期に計上した土地売却益や子会社株式売却益がなくなることで減益を計画しているようです。前期は5G基地局の提供本格化やGIGAスクール関連需要が2ケタ増益に寄与したようなのですが、もう5Gではさほど収益は稼げないということでしょうか。
一方、5G関連の1つである、マザーズ市場のJTOWER(4485)がKDDI(9433)との間で資本業務提携を行うと発表しました。KDDIと既に資本業務提携にあるNTT(9432)を割当先とする第三者割当増資をするようです。ここまで来ると、テーマの成熟感が否めません。