米国のNYダウ平均が連日で史上最高値を更新する中、日経平均の出遅れ感が一段と増す状況になっています。先週の立会い2日間は鉄鋼株を中心に素材系業種が騰勢を強めましたが、それ以外は個別株への決算プレー(決算を材料とした売買)が目立ちました。
緊急事態宣言で行動が抑制されていた上、休場明けを今か今かと待ちかねていたように、ネガ・ポジ関係なく凄まじい反応でした。
さて、以下の図表は、バリュー株指数とグロース株指数に加え、バリュー、グロースを代表する業種別指数(電気機器、情報通信、海運、鉄鋼、銀行)の2018年以降の推移を、指数化した週足チャートです。
なぜ、2018年以降にしたかというと、2020年3月から足元までの上昇相場と同じぐらいの勢いで上昇し高値を付けた2018年1月頃を基準にしたかったからです。
図表を見ると明らかに、グロース株指数に比べてバリュー株指数が依然として出遅れていますが(太いライン)、2021年2月以降はバリュー株指数の上昇が顕著です(黒丸で囲った部分)。
時期を同じくして、米国市場では、ナスダックをS&P500で割った相対指数、米半導体株指数をS&P500で割った相対指数が天井を打ち、下落局面に入ったタイミングと合致します。今も下落が続いており、グロース株が不利な局面に入っていることがわかります。
では、2021年2月以降でどんな業種が上昇率上位かというと、全33業種中、1位.海運、2位.鉄鋼、3位.鉱業、4位.ゴム製品、5位.銀行の順となります。俗にいうバリュー業種がほとんどです。
驚いたのは、2018年以降、海運がグロース株の代表格である電気機器を上回る上昇率になってきたこと。まさにキャッチアップというやつです。通常、出遅れ株が後追いで買われたりするケースは珍しくはないのですが、トレンド転換を伴わずに順位が入れ替わることはめったにありません。
この強すぎる現象をどう考えるか。連休明けの鉄鋼株の強い動きも含め、バリュー株の上昇局面が続くことを示唆しているのではないでしょうか。
構造不況業種のイメージが強すぎて、上がるとわかっていても手を出せないのが本音なのですが、ハイテク・グロース株の下げた押し目買いを狙うよりも投資効果は高いかもしれません。
もし、鉄鋼の強い上昇に銀行が続いたとしたら、TOPIXは年初来の高値を更新し、日経平均は3万円を超えているイメージができそうです。