投機筋の売買戦略と120日MA

米ドル/円は、3月末の110円を大きく上回った水準から、最近にかけて108円前後まで反落した。ただ、ヘッジファンドなどの取引を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋のポジションは、高水準の円売り越し(米ドル買い越し)にこれまでのところ著変はない(図表1参照)。

【図表1】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2020年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

このポジションを前提にすると、4月に入ってからの米ドル/円反落にもかかわらず、未だヘッジファンドなど投機筋は米ドル買い・円売り戦略を維持していると見られる。

ところで、このポジションが2020年以降で大きく変化したのは2020年3月と2021年2月だった。2020年3月は、それまでの米ドル買い・円売りから米ドル売り・円買いへ、そして2021年2月は米ドル売り・円買いから米ドル買い・円売りへ転換した。

この売買戦略の転換を、比較的うまく説明できそうなのは米ドル/円の120日MA(移動平均線)だった。要するに、米ドル/円が120日MAを下回ってくると、投機筋のポジションは米ドル売り・円買い拡大に向かい、逆に120日MAを上回ってくると米ドル買い・円売り拡大となった(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と120日MA(2020年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

以上のように見ると、投機筋の売買戦略は120日MAが結果的に転換点になってきた可能性がある。その120日MAは、足元で106円程度だ。なので、これまで述べてきたことからすると、ヘッジファンドなど主要な投機筋の売買戦略は、目先的に米ドル/円が106円以上で推移している限りは、米ドル買い・円売りに変わりないということではないか。