米ドル/円の109円割れ

4月に入ってから米ドル/円は反落、14日には一時109円を大きく割り込んだ。ただしそれでも、52週MA(移動平均線)を上回る動きは、先週まで7週連続となった(図表1参照)。経験的には、このように52週MAを1ヶ月以上といった具合に「長く」上回る動きは、この米ドル高が一時的ではなく、継続的なトレンドとして展開している可能性が高いと言えるものだ。

【図表1】米ドル/円と52週MA (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ちなみに、米ドル/円の上昇トレンドが展開した前回は、2011年10月75円から2015年6月125円の局面だった。ただ、相場は上がり下がりがあるので、そんな継続的な上昇と逆行した一時的下落はあったが、それは最大で52週MA前後までがせいぜいだった。

足元の米ドル/円の52週MAは106円程度なので、これまで見てきたように、最近にかけての米ドル/円反落があくまで一時的な動きなら、106円前後までがせいぜいといった見通しになるだろう。

そんな米ドル/円は、この数ヶ月米金利を中心とした日米金利差と高い相関関係が続いてきた(図表2参照)。その意味では、米ドル/円の「一時的下落」が、106円前後までとなるのか、それより手前、たとえば108円程度でとどまるかの1つの手掛かりは米金利だろう。

【図表2】米ドル/円と日米金利差 (2020年10月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

その米金利、長期金利の指標である米10年債利回りの90日MAからのかい離率を見ると、「上がり過ぎ」の修正が進んできたようだ(図表3参照)。ただ経験的には、このような「上がり過ぎ」修正は、90日MA割れまでさらに進む可能性があり、それを今回に当てはめると1.3%前後まで、米10年債利回りは一段の低下リスクがありそうだ。

【図表3】米10年債利回りの90日MAからのかい離率 (2010年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

それを日米金利差と米ドル/円の関係に当てはめると、米10年債利回りが1.3%に向かうなら、米ドル/円も106円程度まで続落するリスクありとなる。以上は、基本的に4月8日付けコラムなどのこれまでのレポートでも述べてきたものだが、その後の推移を踏まえ、データを更新し再点検してみた。