金相場は米金利次第

3月にかけて1700米ドル割れへ一段安となった金相場(ゴールド)だったが、最近にかけては反発が目立つ展開となっている。そんな金相場の動きは、2020年夏頃から、これまで以上に米金利との逆相関性が高くなっていた(図表1参照)。その意味では、最近にかけての金相場の反発は、米金利の急騰一巡の影響が大きかった可能性がある。

【図表1】金相場と米10年債利回り (2020年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

なぜ、これまで以上に、金相場と米金利の逆相関性が高くなったのか。それは、米金利がいわゆる「コロナ・ショック」で歴史的低水準まで低下、その後急反騰になるなどボラティリティーが急騰し、この金相場以外にも影響力が大きくなっていることが基本ではないか。

このような、金相場と米金利の逆相関関係は、3月以降一時かい離が目立つ局面もあったが、なお一定の関係は続いているようだ(図表2参照)。その意味では、金相場の反発が続くかの目安の1つとして、やはり米金利に注目したい。

【図表2】金相場と米10年債利回り (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

その米金利、長期金利の指標である10年債利回りの90日MA(移動平均線)からのかい離率を見ると、最近にかけて空前の「上がり過ぎ」が懸念される状況となっていたので、このところの金利低下は、「上がり過ぎ」修正が基本と考えられる(図表3参照)。

【図表3】米10年債利回りの90日MAからのかい離率 (2010年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

経験的には、「上がり過ぎ」修正は90日MA割れに向かうことが多かったので、足元では1.3%前後まで米10年債利回りは低下に向かう可能性があるといった見通しになる(図表4参照)。

【図表4】米10年債利回りと90日MA (2020年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

そして、米10年債利回りが1.3%前後まで低下するなら、金相場はこれまでの逆相関関係を参考にした場合、1800米ドル程度まで上昇するといった見通しになる(図表5参照)。その上で、そんな米金利低下の一巡により金相場反発も一巡する、両者の逆相関関係を参考にすると大まかにはそのような見通しになりそうだ。

【図表5】金相場と米10年債利回り (2020年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成