米ドル/円反発の異なる2つの「見方」

米ドル/円の反発が続いている(図表1参照)。これは、「見方」によっては年初の102円台トライの反動に過ぎないが、別の「見方」からすると、数年来のレンジ上限ブレークを試す動きになっている可能性がある。

【図表1】米ドル/円と90日MA (2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

米ドル/円は2016年に大相場となった。年央に「Brexit(英国のEU離脱)ショック」で100円割れとなったが、年末には米大統領選挙を受けた「トランプ・ラリー」で120円近くまで米ドル急騰となった。

そんな「2016年大相場」の反動か、それとも2017年以降ボラティリティーが急騰した仮想通貨(暗号資産)にボラティリティーがシフトした影響もあったのか、2017年以降の米ドル/円は、105~115円といったほんの10円程度のレンジ中心の小動きが続いてきた(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円の推移 (2016年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

そのような米ドル/円小動きの中では、足元の米ドル/円の水準は、まだまだ下限に近いところにある。その意味では、上述のように、ここ数年続いてきたレンジ下限ブレークを試したものの、それが失敗に終わったに過ぎないというところだろう。

ただこれを、90日MA(移動平均線)からのかい離率で見るとイメージは一変する。2017年以降米ドル/円小動きが続いた中では、90日MAを2%以上上回った水準が基本的に上限となってきた(図表3参照)。その意味では、最近は米ドル/円の「上放れ」を試す動きになっている可能性があるわけだ。

【図表3】米ドル/円の90日MAからのかい離率 (2017年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

後者の「見方」からすると、2017年以降続いてきた米ドル/円小動きの中では、最近のように90日MAを2%上回る米ドル/円は、米ドル高・円安の限界に達している可能性がある一方で、ここを抜けたら3年以上続いた小動きが終わり、新たな米ドル高・円安が始まっている可能性が出てくる。そんな米ドル/円の当面における重要ポイントの攻防を迎えている可能性もありそうだ。