東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は5日ぶりに反落となりました。日経平均は72円高の29,635円で寄り付くと直後に87円高の29,650円まで上昇しましたが、上げ幅を縮めるとまもなくしてマイナスに転じ10時50分前に145円安の29,417円まで下落しました。下げ幅を縮め83円安の29,479円で前場を終えた日経平均は87円安で後場をスタートさせると14時前に112円安の29,450円まで下落した後持ち直しましたが、その後も軟調に推移すると結局42円安の29,520円で取引を終えています。一方で新興市場は堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。
2.個別銘柄等
バイデン政権が自動車生産に影響を及ぼしている半導体不足への対策をまとめる方針を示したことで昨日の米国市場で半導体製造装置のアプライドマテリアルズ(AMAT)やラムリサーチ(LRCX)など大幅高となった流れを受けて日本市場でも半導体製造装置関連銘柄が買われました。東京エレクトロン(8035)が3.7%高となったほか、レーザーテック(6920)が4.2%高、SCREENホールディングス(7735)が3.9%高、アドバンテスト(6857)が3.9%高となりました。ルネサスエレクトロニクス(6723)も3.4%高となりました。自動車向けの半導体の収益が改善したことなどで2020年12月期の純利益が前の期の63億円の赤字から456億円の黒字に転換したことが評価されました。
リンナイ(5947)も8.6%高となりました。新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要で衣類ガス乾燥機や食洗機の販売が想定を上回っていることから通期の営業利益の見通しを上方修正し減益予想が一転して増益予想となったことが好感されました。また、10日の取引時間中に発表した決算を好感した買いが続きトヨタ(7203)が3.5%高となり連日で昨年来高値を更新しています。
一方でロート製薬(4527)が5.3%安となりました。四半期ベースで増益を続けてきた営業利益が10-12月期に前年同期比で減益に転じたことが嫌気されました。東京電力ホールディングス(9501)も10-12月期が営業赤字に転落したことで売られ4.9%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は42円安となりました。上昇してスタートしましたが、米国市場が連日で小幅に高安まちまちとなり新たな買い材料に乏しいなかで高値警戒感から利益確定の売りが出て下落に転じました。しかし、今月に入って一昨日までに1,900円近くも上昇しているにも関わらず小幅な下げに止まりTOPIXは小幅に上昇となっています。先高期待が強く積極的な売りは出にくいということなのかもしれません。なお、決算発表も終盤ですが本日も引け後に日本郵政3社やオリンパス(7733)、住友不動産(8830)などが決算を発表する予定です。また、週明けの8時50分には2020年10-12月期のGDP速報値が発表される予定で注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)