暗号資産の株・為替への影響を考える

昨年から「止まらない上昇」となっていた株式相場が、先週は一時急落となった。ところで、株式相場より早く、年明けから「止まらない上昇相場」から一転して急落、暴落となったのがBTC/米ドルなどの暗号資産だった(図表1参照)。

【図表1】BTC/米ドルと90日MA(2020年4月~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

ではなぜ、BTC/米ドルは暴落したのか。これについて私は、やはり「上がり過ぎ」の反動だったのではないかと考えた。90日MA(移動平均線)からのかい離率を見ると、2017年以降で、今回のようにかい離率がプラス50%以上に拡大すると、1ヶ月以内に上昇は一巡し、急落に転換してきた(図表2参照)。

【図表2】BTC/米ドルの90日MAからのかい離率 (2017年7月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

そんな「上がり過ぎ」の反動は、プライスパターンもよく似ていた。今回のように、90日MAからのかい離率がプラス50%以上に拡大したのは、これまでのところ2017年12月と、2019年6月の2回だった。このうち、前者と今回について値動きを重ねてみると、ピークアウトし下落に転じる値動きが、驚くほど似ていた(図表3参照)。では、下落に転じたこの後の値動きの類似も続くだろうか。

【図表3】BTC/米ドル暴落の類似 その1
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

それを考える上で、もう1つ、90日MAからのかい離率がプラス50%以上に拡大した2019年6月前後の値動きについても、2017年12月前後の値動きと重ねてみた。すると、ピークアウトするまでの100日程度の加速はとてもよく似ており、また下落に転じた後も、100日以降まで続落したプライスパターンには一定の類似性が確認できた(図表4参照)。

【図表4】BTC/米ドル暴落の類似 その2
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

以上を参考にすると、1月上旬にピ―クアウトしたBTC/米ドルは、100日後、つまり4月以降まで続落するリスクが引き続き注目される。昨年まで「止まらない上昇相場」という意味で共通した暗号資産が、4月まで下落するなら、同じく「止まらない上昇相場」となってきた株も下落が長期化することになるのだろうか。それは、今後の為替相場を考える上でも注目テーマになりそうだ。