日経平均が2万7000円の大台を突破した。12月21日付の「マーケット展望」で、<テクニカルな過熱感は和らぎ、外国人の買いも確認される。年末ラリーへの準備は万端整ったと言えるだろう。海外勢のクリスマス休暇明けから今年は「掉尾の一振」が期待できそうだ>と述べたが、その通りの展開となった。いや、予想が当たったというのなら、ちょうど1年前の今年の予想のほうが大当たりだろう。昨年出した今年の予想は日経平均2万7000円超えだった。

出所:マネックス証券ウェブサイト

こういうのを典型的な「結果オーライ」という。または「まぐれ当たり」である。昨年のいまごろ、今年がコロナでこんな展開になるとは誰も予想できていなかった。無論、僕もそうだ。まったく違うシナリオを描いて、結果だけ偶々当たったに過ぎない。

そう認めたうえで、あえて申し上げれば、まぐれでも当たる予想を出せたのは、やはり株式相場というものに対する基本認識の差であろう。というのも、市場には端から箸にも棒にも掛からない、めちゃくちゃ弱気な見通しを出す(しかも毎回)人が少なからずいるからだ。株は基本的に上がるものだ、ということを理解していない。株は基本的に上昇する。右肩上がりが基本的なトレンドだ。だから、株価予想をするには上を見るのが基本のスタンスであるべきなのだ。

ところが、期限を区切った予想はその限りではない。来年の相場がどうなるか、今年1年どうなるか、というのは長期トレンドの周りの、いわば「綾」を当てにいくようなものだから、これは当たったり外れたりたり、だろう。だから、そんなものを当てようとするのは土台、無理があるのだけれど、こちらは商売なものでやっている。ただ、投資家のみなさんは、特に個人投資家には決算期というものがないので、期限を区切る必要はない。株は基本的に上がるものだと、長期のトレンドを追い続けていただければと思う。

 

新著「2021年相場の論点」のなかでは、予想を修正することの重要性を説いている。状況は刻一刻と変わる。新しい情報を分析インプットしながら、予想を常に最新の状態に更新しながら走れば当たる確率が高くなる。その意味では、コロナショックで急落した3月の時点で、「前言撤回、2番底はない」とこの戻りを断言できたのは、我ながら良い仕事ができたと自負している。

さて、本日、大引けの日経平均は2万7568円。12月7日付のレポートで掲げた2021年の相場予想を早くも修正しなければならない。そこではこう予想していた。

<過去50年間(1970年~2019年)で日経平均が年間で上昇した年は32回あり、その平均上昇率は約20%だった。また過去50年間で日本の景気循環における景気の谷は9回認識されているが、景気が底をつけた翌年の日経平均の変化率を平均すると22.5%であった。これらの点から上昇相場を見込むこのシナリオでは2021年の日経平均の上昇率を20%と仮定する。本稿執筆段階で2020年末の終値を2万6000円と想定し20%の上昇率を当てはめると2021年の年末の株価は3万1200円が期待できる。>

明日の大納会がどうなるか分からないが、仮に2万7500円を発射台だとして、そこから2割の上昇だと、3万3000円となる。

蛇足ながら3万円まではあと2500円もない。率にすれば8.8%の上昇で届く。来年の早い時期に大台の更新が見られるだろう。日経平均2万7000円突破ということでレポートを書いたが、2万7000円なんてあくまで通過点でしかない。

メディアで市況解説を読むと、相も変わらず弱気のオンパレードだ。いわく、短期筋の買い、ETFの配当金の再投資によるもの、市場参加者が少ないなかでの特殊要因による上昇、年明け以降は利益確定売りが出やすい、云々かんぬん。言いたい向きには言わせておけばよい。弱気の連中が、いかに今年の相場を外してきたか。今が30年ぶりの高値であることを考えれば、目先の些少な弱気材料を並べ立てるのが、いかに意味がないか自明であろう。つまらない小手先の情報に振り回されず、しっかりと幹を見てほしい。株を枕に正月だ。みなさん、良いお年をお迎えください。

チーフ・ストラテジスト 広木隆