コロナ

 完全には収束しないがピークアウトとの認識に至る。「ウィズ・コロナ」が常態化し、それが普通である社会生活が送られていく。ワクチンも治験を終え優先度の高い医療従事者等から段階的に投与が始まることで終息に向けた期待や安心感が広がる。ただし、「安心」=「過度に恐れることがない」というだけで、コロナ感染がなくならない以上、制限が至るところに残る。しかも、これは日本および一部の国・地域の状況で、先進国の一部と新興国では感染拡大が続き終息の目途が見えない。グローバルに自由な移動はできない状況が続く。

経済

 回復感が顕著になる。飲食、旅行、移動、エンターテイメント等の分野では以前の状態には戻らないが、それらはいち早く景気回復した中国の需要や、DX、リモートワーク需要などにけん引され新たに生み出される成長要因の寄与で相殺される。経済全体ではペントアップ・ディマンドも加わり力強く回復する。GDP(国内総生産)の水準自体はコロナ前に戻るのは難しいかもしれないが、大底からの回復度合いは大きくV字回復となる。そのため景気実感としてはじゅうぶんポジティブな景況感の改善となるだろう。景気を語るときに方向と水準のどちらで見るかは重要な点であるが、現在は「景気は方向で判断する」というのが専門家の間では常識になっている。特に株式市場が企業業績を評価するのは「変化率」の観点からである。その意味では2021年は前年の発射台が歴史的に低い分、変化率が高く出やすい。これは株式相場にとってtail wind(追い風)である。

政治・政策

 世界的にコロナ対策と景気対策の両立が当面のトッププライオリティとなるため、市場にとって居心地のよい環境は継続する。2020年9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で米国はゼロ金利が2023年まで続くことが示唆され、日本も当面金融政策の変更は想定されない。菅政権は経済第一の姿勢を打ち出し、ビジネス/マーケット・フレンドリーな政権であることが海外も含めた投資家全般に認知される。規制改革が進展し日本経済が活性化する期待から海外マネーの流入が加速して株価の押し上げ要因となるだろう。第2次安倍政権が2014年に「日本再興戦略・改定」でコーポレートガバナンス改革を謳い、日本企業のガバナンスが変わるとの期待から海外投資家のマネーが流入したが、その再現となる可能性がある。海外投資家のマネー流入をさらに加速させそうなイベントが衆議院解散・総選挙である。菅政権の支持率は落ちているが、おそらくオリンピックで盛り上がるころ合いをみての解散・総選挙となるだろう。とにかく野党が弱いため与党の勝利は揺るがない。それを市場は好感して一段高となるだろう。安倍政権で行われた衆院選・参院選には、いずれも与党勝利を受けて株式市場は上昇で応えてきた。海外投資家にとっても改革を前面に打ち出す菅政権の基盤拡充につながる与党の勝利は買い材料となる。

総括

 未曽有の過剰流動性と低金利が相当期間継続する見通しが強い中では、株式等の資産価格に上昇圧力がかかるのは道理である。一方、コロナ感染が落ち着くにつれ経済活動も戻り、景気・企業業績はV字回復する可能性が高い。いったんV字回復したあと、成長のペースは鈍化しようが、「大底をつけた=最悪期は過ぎた」ならば「この先は改善する」というシンプルな見方が大勢を占めるだろう。超低金利とあってバリュエーション(マルチプル)は高くなっても許容されるだろう。過剰流動性と低金利の中、政策の後押しもあって景気・業績の回復見通しが強まる。その帰結は株高である。過去50年間(1970年~2019年)で日経平均が年間で上昇した年は32回あり、その平均上昇率は約20%だった。また過去50年間で日本の景気循環[1]における景気の谷は9回認識されているが、景気が底をつけた翌年の日経平均の変化率を平均すると22.5%であった。これらの点から上昇相場を見込むこのシナリオでは2021年の日経平均の上昇率を20%と仮定する。本稿執筆段階で2020年末の終値を2万6000円と想定し20%の上昇率を当てはめると2021年の年末の株価は3万1200円が期待できる。

アップサイド・シナリオ

 景気・業績が想定外の速さで戻るにもかかわらず、金融・財政両面からの景気対策が続く。このミスマッチにより株価は一段と上昇する。市場センチメントの面でも、「歴史的な厄災だったコロナ禍からの復活の年」という祝祭ムードも加わり相場の上昇率は高くなるだろう。上述したとおり過去50年間で日経平均が上昇した年は32回。そのうち上位16回の上昇率の平均は約34%。これを当てはまれば日経平均は3万4800円まで上昇する。ちなみに第2次安倍政権発足の実質1年目(発足したのは2012年12月)に当たる2013年の日経平均の上昇率は56.7%だった。景気が底打ちした次の年でもあった。34%の上昇率はそれほど無理のない仮定であろう。

 

[1] 内閣府経済社会総合研究所の景気基準日付による。