大統領選挙前後の「豹変」

米ドル/円には、米大統領選挙を前後して小動きから一方向への大相場に「豹変」するといった「アノマリー」があった。それは、クロス円にはおおむね該当するものの、ドルストレートには必ずしも該当しない可能性がありそうだ。

米ドル/円の米大統領選挙アノマリーの典型的な結果になったのは2012年と2000年。この2回について、豪ドル/円と豪ドル/米ドルについて調べたところ、前者は2回とも選挙を前後して90日MA(移動平均線)からのかい離率が±10%以上に急拡大した(図表1、2参照)。

【図表1】豪ドル/円の90日MAからのかい離率(2012~2013年)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表2】豪ドル/円の90日MAからのかい離率(2000~2001年)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

これに対して、後者は2回とも選挙後のかい離率の拡大は限られ、とくに2012年のケースでは、選挙後もかい離率はほとんど拡大しなかった(図表3、4参照)。

【図表3】豪ドル/米ドルの90日MAからのかい離率(2012~2013年)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表4】豪ドル/米ドルの90日MAからのかい離率(2000~2001年)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

以上からすると、米大統領選挙を前後して米ドル/円のボラティリティー(変動率)が急上昇したのは、米ドルより円の影響が大きかった可能性が高かったと考えられる。

今年も、米ドル/円は方向感のない小動きが続いている。ただ大統領選挙のアノマリーが今回も機能するなら、11月の選挙前後から一転一方向への大相場に変わり、ボラティリティーが急上昇する可能性はある。

その場合、これまで見てきたことからすると、豪ドル/円などクロス円は同様にボラティリティーが上昇するものの、豪ドル/米ドルなどドルストレートのボラティリティー上昇は限られるといった具合に、クロス円とドルストレートの値動きが分かれる可能性がある。