昨日のトヨタ(7203)で4-6月期の決算発表も峠を越えた。今回の4-6月期の決算発表は総じて悪くない決算だった。こんなことを書くと「気は確かか?」「暑さで頭をやられたのではないか?」と思われる向きもおられよう。個別には、無論、好悪さまざまである。それは何も今回に限らず毎回のことだ。全体では、3社に1社が赤字、前年同期比で7割減益という惨状だ。しかし、リーマンショック直後はほとんどの企業が赤字になった。2009年3月期決算で日立(6501)は7800億円という製造業最大の赤字を記録、巨艦が沈みかけた。それに対して今回は、トヨタがほかの自動車メーカーが軒並み赤字になるなか最終黒字を確保するなど、健闘が光った主力銘柄も散見された。3社に1社が赤字だが、3社に1社は増益である。通期になると赤字の社数はぐっと減る。おそらく2~3割減益で着地だろう。それなら普通の景気悪化時期の決算と変わらない。
重要なことは、ここがボトムになるということだ。これ以上悪くならない。ということは、7-9期、10-12月期と先へ行くにしたがって、良くなっていくのだ。市場がそれを認識すれば自ずと目線は上向きになるだろう。
一方、期待のハイテク企業が失望売りで急落するケースも目立った。アドバンテスト(6857)、NEC(6701)、コムチュア(3844)、そして今日はレーザーテック(6920)だ。NECは1Qは減収営業赤字になったが今後取り戻す余地はじゅうぶんある。海底ケーブル、5G、NTTとの提携、材料は豊富だ。DX関連の中核銘柄であり続ける。コムチュアも一時的な不採算案件が理由の下振れだった。一時的なら今後は大丈夫だろう。アドバンテストはまさにネガティブ・サプライズだった。コロナの影響だけでなく、米国のファーウェイ規制が響いたという。そうであるなら深刻だ。5GやDXの時代にあって半導体の潜在需要は強いものの、米国の対中政策が絡んでくると先行きに不透明感が増す。いったんは手仕舞い様子見か。
今日、モーサテで吉崎さんとご一緒したが、彼のテーマは「バイデン政権で政策転換」だった。アメリカ大統領選挙まで残り3ヵ月を切る中、バイデン新政権誕生の確率はかなり高まっている。議会選も民主が上院を奪還するかもしれない。仮に民主党が、大統領選とともに上下院選で両院を制することになれば、2021年からの政策大転換もあり得るという話。まっさきには気候変動だが、ESG全盛のなか、確かにこれは大きなテーマになる。銘柄はJパワー(9513)。これに関しては積もる話がたくさんあるので、マーケットトークなどで話したい。
いまは気候変動の話を置いておくとして、バイデンになって対中政策はどうなるか。中国への強硬姿勢はトランプ氏のスタンスというより議会だから、バイデンになっても変わらないという意見が多いが、ホワイトハウスも議会も民主になって大転換となればわからない。すくなくとも「強硬姿勢一辺倒」というのは変わるかもしれない。それに期待して半導体関連の売られたところを買うという賭けもある。
ちなみに、コロナですべてのシナリオが狂ってしまったが、「今年の10大リスク」の3番目に僕があげたのが、トランプ再選ならず、だった。民主党の候補はバイデン氏だとしている。いや、まだ決まったわけではないが。