3月中旬の水準まで反発してきたメキシコペソ/円

メキシコペソ/円が27日に一時4.8円を上回り、3月中旬以来の水準まで上昇してきた。以前(5月11日)、「メキシコペソ/円を下支える2つの要因」というレポートを書いたが、このようにメキシコペソが続伸してきたことで、この「2つの要因」も変化してきた。

「2つの要因」の1つは、メキシコペソ/円の90日MA(移動平均線)からの乖離(かいり)率(図表1参照)。同乖離率は、5月8日現在ではマイナス12%程度で、経験的にはなおメキシコペが「下がり過ぎ」の可能性があることを示していた。しかし同乖離率は、足元ではマイナス3%程度まで縮小。「下がり過ぎ」はかなり是正されたといえそうだ。

【図表1】メキシコペソ/円の90日MAからの乖離率(2000年~)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成


「2つの要因」のもう1つは、WTIの90日MAからの乖離率(図表2参照)。同乖離率は、5月8日現在ではマイナス30%以上で、WTIは依然としてかなり「下がり過ぎ」懸念が強い状況と見られた。ところが、その後WTIが大きく反発したことで、足元では同乖離率もほぼニュートラルとなり、原油相場の下がり過ぎはほとんど是正された。

【図表2】WTIの90日MAからの乖離率(2000年~)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成


産油国メキシコは、原油相場の影響も受けやすい。この間の原油相場の反発は、メキシコペソにとってプラス要因になったと考えられる。

メキシコペソも原油相場も、この間の反発は、「下がり過ぎ」の反動が大きかっただろう。ただそれは、足元までにほんどと一巡したようだ。その上で、新興国通貨のメキシコペソ、また原油相場がさらに上がるかは、株価が一段と上昇、リスクオンが拡大するなどの要因が必要になりそうだ。