歴史的株暴落の値動きパターン

先週の米ドル/円は、107円台中心に底固い展開となりました。週初は、下落してのスタートとなりましたが、週後半にかけては一時108円まで戻すなど、反発気味の展開となりました。

米ドル/円は、3月に入ってすぐに101円まで暴落、ところがその後は一転して111円まで急反騰するといった具合の大乱高下が続きました。さすがにここに来て、そんな「動き過ぎ」の反動が出てきた、「動き疲れ」の小動きになっているのかもしれません。

米ドル/円の一日平均値幅は、昨年は0.5円程度でしたが、3月には一気に2円まで急拡大となりました。ただ4月は、17日までの段階で0.8円程度に縮小しました。これを見ても、米ドル/円の値動きが安定してきたことがわかるでしょう。

それにしても、このような米ドル/円の値動きの安定化の背景にあるのは、新型コロナ・ウイルス問題をきっかけとした世界的な株大暴落などの金融市場の混乱が少し落ち着いてきたということがあるでしょう。

たとえば、NYダウは2月に記録した最高値、2万9500ドル程度から、3月には1万8500ドル程度まで、最大で37%も下落しましたが、先週末には2万4000ドルを回復、最高値からの下落率は18%まで縮小しました。では株価はさらに反発に向かうのか、それともそろそろ反発も終わるのか。

株暴落が数年に渡って展開する場合でも、一時的な反発局面はあります。たとえば、1929年からの大恐慌でのNYダウは、49営業日で48%下落したところで暴落第一幕が終了し、その後は158営業日まで反発局面が続き、下落率を23%まで縮小しました(図表参照)。

【図表】歴史的株バブル崩壊相場の類似(アナロジー)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成

また1990年からの日本のバブル崩壊で、日経平均は62営業日で27%下落したところで下落が一段落し、その後は113営業日にかけて下落率を15%まで縮小しました。そして2000年からのITバブル崩壊において、ナスダック指数は55営業日で37%下落しましたが、その後は93営業日にかけて下落率を15%まで縮小しました。

以上を整理すると、過去の歴史的株暴落では、40~60営業日で3~5割下落(暴落第一幕)、その後は100~150営業日にかけて下落率を15~20%程度まで縮小する(一時的反発)といったパターンがありました

これと今回のNYダウを比較すると、3月にかけて37%下落したNYダウが下落率を18%まで縮小してきたのは、まだ一時的反発の範囲内の可能性があります。ちなみに、今回NYダウが2万5000ドルを大きく上回るようなら、下落率が15%以上に縮小する計算になります。

以上のように見ると、あくまで株反発が一時的なら、そろそろ終わりに近い可能性があるでしょう。逆にいえば、NYダウが2万5000ドルを大きく超えて反発が続くなら、株安は3月ですでに終わった可能性が出てくるかもしれません。

株のコロナ暴落はもう終わったのか、まだ一時的反発に過ぎず、株暴落の途上に過ぎないのか。米ドル/円など為替の新たな方向性も、そんな株の動きが一つの鍵になるのではないでしょうか。