◆今日は節分。いつの頃からか恵方巻きを食べる習慣が全国に広がった。バレンタインデーのチョコレートと同じで商魂たくましい日本の流通業者の戦術にまんまと日本中がはまったと言えるだろう。ローカルな風習である恵方巻きは、東京で育った僕には無縁だ。節分と言えば、豆をまき、そのまいた豆を拾って歳の数だけ食べるというのが習わしである。
◆所変われば食べるものが変わる。フランスではクレープだ。昨日2月2日は「クレープの日」。正確にはla Chandeleur(ろうそくの日)である。2月2日はクリスマスから40日後にあたる。フランス語のfevrier(2月)という言葉は、ラテン語の「febuare (清める)」が語源。2月という月は昔から自然が清められ、寒い冬を越えて春への「再生」の時期と考えられてきたのである。
◆la Chandeleurにクレープを食べるようになったのは、クレープの形と色が太陽を連想させるから。明るい火=ろうそくのお祭りということだ。それでいうなら節分の豆も、小さいけれどクレープ同様、形と色は太陽だ。節分は「立春」の前日にあたり、立春は暦の上で春が始まる季節のこと。節分は冬の終わりの日で、翌日から新しい季節が始まる区切りの日である。だから邪気や悪いものを落として、新しい年に幸運を呼び込む行事ができたのだ。
◆洋の東西を問わず、この時期は季節の分かれ目であり、邪気を払う。今、世界が願うのは新型肺炎が一刻も早く終息することだ。旧暦ではまさに今が正月、新年だ。季節と年の変わり目にクレープと豆まきで肺炎の邪気を払いたいものである。