米中交渉の株価への影響とは?

米中は貿易交渉で第1次合意に達し、12月13日の日経平均こそ500円以上の大幅高となったが、週明けの12月16日は反落となった。では、米中合意は、このまま株高をもたらさないかといえば、それは違うのではないか

結果的には土壇場までもつれたようにもなったものの、今回の米中第1次合意は、基本的には事前に予想された通りだっただろう。事前の予想とは、第4次対中制裁関税は、クリスマス商戦を直撃するため、米国側も望んでいないだろうということ。結果的に、第1次合意は、この第4次関税引き上げ見送りが柱であり、それは米国の個人消費にダメージを与え、米景気の腰折れ回避にプラスになっただろう。

米中がこの第1次合意に達する前から、米第4四半期成長率予想は、一時のゼロ成長といった悲観的な見方から急改善に向かい始めていた。定評のあるGDP予測モデルであるGDPナウは、米第4四半期成長率予想を、0.4%から2%に上方修正した。

第4次制裁関税が発動され、個人消費に打撃となれば、成長率予想も再び下方修正の可能性もあったものの、第1次合意によってそれが回避されたわけだ。その影響もあったのか、GDPナウは12月13日に更新した第4四半期成長率予想も2%を維持した。

株価は米景気との関係が強い。経験的に、米四半期成長率が2%以上といった景気回復が続く中では、リスクオフは限られ、リスクオンが広がりやすい。それは、トランプ政権に賛否両論ある中でも、2017年第2四半期以降、2%以上の成長率が続く中で、米国株の最高値更新が続いたことでも確認できるだろう。

以上のように見ると、米中第1次合意で、第4次関税発動が回避され、2%以上の米景気回復が続く見通しとなったことの株価への意味は小さくないだろう

一方で、第2次合意は、来年11月の米大統領選挙後までない可能性が高い。その意味では、過去に遡って関税が引き下げられる可能性は低いだろう。ただそれを材料に、今年も何度か株価は売られる場面があった。そんな株安は、7~10月のFRB(米連邦準備制度理事会)による「保険的利下げ」で反転させられた形となった。

以上のように見ると、過去の関税が新たに株安をもたらす可能性は低いのではないか。米中間では、第2次合意は1年以上もなさそうだが、米景気腰折れを回避する効果をもたらした第1次合意の株高への影響は決して小さくないのではないか。