米第4四半期成長率予想が急改善している。これは、経験的にはリスクオフが広がりにくくなっている可能性を示すものだ。

定評のあるGDP予測モデル、アトランタ連銀のGDPナウは、第4四半期の米成長率予想を、11月19日には0.4%といった具合に、ほぼ「ゼロ成長」としていた。ところが、11月27日には1.7%へ大幅に上方修正した(12月2日には1.4%へ下方修正)。また、NY連銀のGDPナウキャストも、11月15日時点では0.39%としていた予想を、11月29日には0.77%まで上方修正した。

このような米景気予想の急改善は、リスクオフが広がりにくくなる可能性があるものだ。2015年8月の「チャイナ・ショック」、2016年6月の「Brexit(英国のEU離脱)ショック」など、最近の代表的なリスクオフは、米四半期成長率が2四半期連続で2%未満が続くといった景気減速局面で起こってきた(図表1参照)。

【図表1】米四半期成長率とリスクオフ・オンの関係 (2015~2019年)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

米四半期成長率は、第3四半期の速報値が1.9%となり、さらに上述のように第4四半期は一段と大きく減速するとの見方が基本だった。ところが、第3四半期の成長率は第一次改定値で2.1%に上方修正され、その上で第4四半期の成長率予想も大幅な上方修正が相次いでいる。

FRB(米連邦準備制度理事会)が7月以降のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、3回連続で利下げする中、株価も世界的に急反発に転じ、それにつれる形で米ドル/円も104円から足元は109円を大きく上回る動きとなっている。要するに、株安・円高といったリスクオフの組み合わせから、株高・円安といったリスクオンへ急転換してきたわけだ。

最近にかけての、米景気予想の急改善は、そんなリスクオフからリスクオンへの金融市場の急転換を裏付けるものといえそうだ。逆にいえば、9月以降のリスクオン、株高・円安は、景気急改善の先取りだった可能性がある。