私は、10月にかけて3回連続でのFRB利下げは、1998年の連続利下げに似ているとの見方を示してきましたが、「似ている」のではなく、FRB(米連邦準備制度理事会)の中には1998年の連続利下げを参考にし、真似たという意識もあったのではないでしょうか。
今年3月26日付のブルームバーグに、「シカゴ連銀総裁:今年の金融政策、1998年の利下げから学ぶ必要」という記事がありました。主なポイントは以下でしょう。
・米シカゴ連銀のエバンズ総裁は3月25日、金融当局者が米経済見通しと利上げ回数予想を引き下げた現在の状況をアジア金融危機が起きた1997-98年になぞらえた。
・米シカゴ連銀のエバンズ総裁「FOMC(米連邦公開市場委員会)が現在取っているリスク管理姿勢は異例ではない」、「過去の似たような状況ではうまく行った」。
以上から見ても、米シカゴ連銀のエバンズ総裁など、何人かのFOMCメンバーは、「保険的利下げ」の代表例の1つである1998年9-11月、3カ月連続利下げを参考にし、今回、7-10月の3回連続利下げを行った可能性は十分あるでしょう。
では、FOMCが参考にした可能性のある1998年3カ月連続利下げの後は何か起こったか。1999年はITバブルのクライマックスが起こりました。その中で、NYダウも「最後の利下げ」の後から2割以上の一段高となりました。このため、FRBは「最後の利下げ」から半年後には利上げに転換したのです。
さて、これまで何度か書いてきたように、金融政策が似ただけでなく、1998年と今年は米国株の値動きもこれまでのところ比較的似た展開となっています(図表1参照)。この先も似た状況が続くなら、米国株は2020年にかけてバブルのクライマックスのような展開になる可能性があるでしょう。
そうなると、2020年は米大統領選挙の年ではありますが、年央頃までにFRBは利上げに転換する可能性も出てくるかもしれません。