給与所得者は年末調整で納め過ぎた所得税を取り戻そう

もうじき年末調整が始まります。

もう、年末調整のための書類が配布されているところもあることでしょう。この年末調整とは、年に一度、その年の1月から12月までに給与や賞与から差し引かれた所得税について、過不足額の精算をすることです。

12月、もしくは翌年の1月の給料が、還付される税金で少し多くなっていると感じる人もいるでしょう。この余剰金は、貯蓄に回したり、投資の資金にしたり、欲しかったものを買ったりできる余剰金となります。もれなく申告して、しっかりと税金の還付を受けてもらいたいものです。

税金を多く還付してもらえるかどうかは、「所得控除」の金額がどれだけ多くなり、課税される所得額をどれだけ減らすことができるかによります。

実際、還付されるのは、今まで給与や賞与から差し引かれていた所得税額と所得控除できる金額を改めて差し引いて求められる所得税額との差額になります。それらは申告しないと還付されないので、年末調整の手続きの際は、忘れずに申告しましょう。

年末調整で受けることのできる主な所得控除

「配偶者控除」「配偶者特別控除」と「扶養控除(税務上の扶養控除)」

書類の中に、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」がありますので、扶養している人がいる場合はもれなく申告しましょう。配偶者だけではなく、16歳以上のお子さんや70歳以上のご両親なども「扶養控除」の対象です。ただし、年収の制限があります。

「配偶者控除」を受ける場合、基本的に配偶者の年収が給与のみとすると、給与収入103万円以下で38万円の控除が受けられます。年間の給与収入が103万円を超えるような働き方をしている場合、年収201万円を上限に「配偶者特別控除」が受けられます。

この配偶者特別控除により、配偶者の給与収入が103万円を超えても150万円以下であれば、配偶者自身の所得には所得税が課されますが、年末調整により配偶者特別控除の上限となる38万円の所得控除が受けられます。

配偶者特別控除は給与収入であれば201万円を上限に配偶者の年収が上がるにつれ、控除額が36万円、31万円、と漸減する設計となっています。また、主たる収入を得ている人の年収についても1,120万円を超えると、この控除額が減る仕組みになっています。

扶養控除は、控除額が年齢により異なります。通常は38万円の扶養控除額ですが、19歳以上23歳未満のお子さんは「特定扶養親族」という扱いになり、63万円の控除が受けられます。70歳以上の人を扶養している場合は、同居の場合は58万円、同居以外の場合は48万円が控除されます。

生命保険料控除

生命保険料として支払った金額も、所得控除の対象になります。

2012年1月1日以降に契約(更新も含む)した保険は新しい制度の適用となり、控除される種類を3種類に分類し、新生命保険料控除、介護医療保険料控除、新個人年金保険料控除のそれぞれで上限4万円の控除が受けられます。

それ以前に契約した保険は旧生命保険料控除、旧個人年金保険料控除に分けられますが、それぞれ新契約の保険料と合算して、上限4万円までの控除額です。3種類全てについて上限まで控除を受けるとすると、最大で12万円の控除が受けられます。

ただし、4万円の控除を受けるには1種類につき8万円の保険料を支払っていることが必要になりますので、控除狙いで保険に入るよりは必要な保障に入るように考える方がお得でしょう。

生命保険料控除の申告には「給与所得者の保険料控除申告書」と今頃から届き始める生命保険会社からの「生命保険料控除証明書」が必要になりますので、しっかりとっておきましょう。

iDeCoの掛け金の控除

iDeCoの掛け金は、年末調整で所得控除をしてもらえます。掛け金支払い額の証明書である「小規模企業共済等掛金払込証明書」のハガキが国民年金基金連合会から送られてきますので、その金額を「給与所得者の保険料控除申告書」の右下にある「小規模企業共済等掛金控除」の欄に記入します。これでしっかりと所得控除が受けられます。

住宅ローン控除

住宅ローン控除を受ける1年目は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で控除を受けることができます。2年目以降は9年間分の「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」が送られて来ますので、無くさないようにしましょう。

毎年の年末調整では、この書類と金融機関から届く「残高証明書」を提出する必要があります。これらを添えて「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」に必要事項を記入します。

確定申告が必要な手続きもある

これらの手続きは、もし忘れてしまっても翌年2月からの確定申告でも手続きができますが、せっかく会社でしてくれるのであれば自分の手間を削減する意味でも、しっかりと書類を出して還付を受けたいものです。還付額の大小は、いくら控除されるかと、ご自身の所得税率によっても異なります。

もし、医療費控除を受けたい、ふるさと納税で5自治体以上に寄付をしてしまったという場合は、必ず確定申告が必要ですのでご注意ください。

いつもの収入以外となる税金の還付はしっかり受け取り、余剰金を増やしておきましょう。それで投資を始めるきっかけにしていただいたり、投資額を少し増やしたりするようなきっかけになるといいなと思っています。