最近のお金の話題と言えば、消費税増税一色といってよいほど、様々なメディアがそろって増税について伝えています。理解しにくい部分が多い今回の消費税増税について、少しでも理解が得られるようにという働きかけの意味が多いのでしょう。

軽減税率、キャッシュレスによるポイント還元等の仕組みは、度重なる報道でだいぶ分かってきたのではないかと思います。では、いざ消費税増税を迎えた日から、私たちはどういうことに気をつけるとよいでしょうか。

ポイント還元制度に踊らされない

まず1つは、「ポイント還元制度に踊らされないこと」です。ポイント還元は確かに魅力的なものです。ポイントを得るために、奮闘したくなる気持ちも分かります。

ただ、落ち着いて考えたいのは、「今、よく利用しているお店は、ポイント還元の対象なのかどうか」という点です。

例えば、よく使うであろう大手チェーンのスーパーは、決済方法の1つとして最近はQRコード決済の導入を進めていますが、これは消費税増税に伴うポイント還元を目的にしているものではありません。ドラッグストアも実は大手である場合はほとんどポイント還元の対象外ですし、自分の周りを見渡すと、いつもの買い物の仕方ではあまりポイント還元の恩恵を受けられない、と気が付くでしょう。

コンビニエンスストアは90%以上がフランチャイズなので、多くの場合はポイント還元の対象となりますが、コンビニでの買い物だけで暮らすことも、効率が悪く感じてしまいます。

一番確実にポイント還元を受けられる店舗は、地元密着型の商店やパン屋などのお店だろうと思います。また、自営業としてやっているような小規模な飲食店なども該当するでしょう。

もし、生活の上でそういったお店を利用するようにシフトしても支障がないということであれば、利用する店を変えることも有効でしょう。ですが、ただポイント欲しさで無理に変えると、後に支出が思っていた以上に増えてポイント還元の意味があまり無かったなど、思いがけないしわ寄せがくるかもしれません。

ポイント獲得を考えるのであれば、ネットショッピングでの買い物もよいでしょう。大手ショッピングサイトには、複数の小規模企業が出店しています。そのような店舗での買い物からはポイントを得られますし、大手ショッピングサイトも対象店舗が見分けられる工夫をすることも考えているそうです。

iDeCoやふるさと納税で税金の還付を受ける

増税に伴い、もう1つ行動に移してほしいことは、「税金の還付を受けること」です。

住宅ローン控除などは忘れないでしょうが、医療費控除、寄付金控除などに該当する人は意識して税金の還付を受けるようにしましょう。

また、自分で税金の還付を受けられるようにしていくこともできます。それは以前お伝えした「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を始めることです。掛け金が全額所得控除になるので、老後資金を作りつつ節税することができるのです。

また、「ふるさと納税」をすることもよいと思います。ふるさと納税は簡単に言うと、自治体に寄付をして、返礼品をもらうというものですが、2,000円を超えた部分は翌年の住民税から控除されるという住民税の前払い制度のようなものでもあります。

住民税として支払うはずのお金を、自分の好きな自治体に納めるというものです。翌年の住民税からはその寄付した金額から2,000円を引いた金額が控除されるため、その分だけ住民税額は減額されます。

複数の自治体に寄付をしてもふるさと納税で全額控除される上限額までは2,000円を自己負担するだけで様々な商品がもらえるので、その商品部分で得することができます。

ふるさと納税で全額控除される上限額は年収500万円の人の場合、共働きなら61,000円程、専業主婦のいる家では49,000円程となります。

返礼品は寄付金額相当分ではなく、寄付金額の3割以内と決められているので、本当に得なのかどうかと思われる人もいるようです。この点、仮に49,000円程の寄付をした場合、最大14,700円相当の返礼品を受けられるので、2,000円しか自己負担していないと考えると、「得した」と言えると思います。

国の予算の都合による増税は暮らしに影響を及ぼしますが、国が提供する様々な制度を使うことである程度の挽回も可能なのです。

「家計の把握」を忘れないこと

キャッシュレス決済によるポイント還元も、税制優遇制度も魅力的ですが、何より忘れてはならないことが「家計の把握」です。

キャッシュレス決済を利用することにより支出が増えてしまうという状況では本末転倒ですし、税制優遇制度を活用するために支出を増やしたことで生活ができないということもまた然りです。

しばらくは消費税増税で支出が増えること、その中でもいかに得をするかに目が行きやすいですが、時々は振り返って、自分の支出に変化がないか、良くないお金の使い方をしていないか、を見つめ直すようにしましょう。