子どもたちが夏休みを満喫している時期です。おじいちゃん、おばあちゃんにお小遣いをもらったり、地域によってはお年玉ならぬ「お盆玉」などという習慣があるところもあり、子どもがお金を手にすることも多くなるでしょう。

ここで、大人は子どもたちにどのようにお金の使い方を教えるとよいでしょうか。お金に困らない大人に育つために、伝えるべきことは何でしょうか。それはお金を得た時にそれをどうするのか、使ってしまうのか、貯めるのか。上手なお金の付き合い方を教えてあげてほしいと思います。

お金ってどういうもの?

お金そのものを「お金」として、子どもたちは認識していると思います。お小遣いをもらえば、手元にある範囲でマンガを買ったり、ガチャポンが好きなようにできるだろうという認識です。

ですが、今はキャッシュレス時代となり、お金も様々な形に変わって存在することが多くなりました。クレジットカード、デビットカード、スマホのQRコード、Suicaなど交通系の電子マネーなど、実に複雑です。

最終的にはすべて自分のお金からそれら支払いツールにお金を入れて利用しているということが見えにくいため、子ども自身、それらをお金と認識しがたく、使えば何でも手に入るとさえ思ってしまいがちです。こういったことから目に見えないお金の流れによって、お金に対する認識が十分ではなくなる場合が出てきているのではないかとも思えます。

お金は子どもにとっては単なる物々交換のツールの1つであって、お金の価値はあまり考えたり意識したりはされていないことも多いでしょう。ですが、このような状況であるからこそ、子ども自身がもらって手に入れるお金をどのように管理し、どのように使うか、大人がしっかり教えていかなくてはいけません。

まず知ってほしいのは、お金は簡単にもらえるものではないということ。働いて、その対価として得ているものであることを知ってもらいましょう。そしてそのお金は、いろいろな姿に形を変え、使うことができることも理解してほしいところです。

簡単に使ってしまうとすぐになくなりますし、簡単に使う前の金額に戻すことができないことも、理解してほしいところの1つです。

お金の望ましい使い方を伝える

お金は使うとすぐになくなるからこそ、本当に欲しいもの、やりたいことに使ってほしいもの。まずは、「欲しいから買うのか、必要だから買うのか」の区分けができるようになってほしいと思います。家計の三分法「消費」「浪費」「投資」に分ける支出管理の前段階でもあります。

初めは何が必要で何が欲しいかの違いはわからないと思いますから、ノートに使ったお金について、「いつ、何を買ったか」を書いてもらい、大人と一緒に「必要だから買ったのか、欲しいだけで買ったのか」を考えていきます。そしてだんだんと考える習慣ができるようになると、お金の使い方も一人前になってくるでしょう。

欲しいという欲望だけに流されず、「欲しいけれど買った後どう使うことができるか」を考え、判断しながらの買い物が徐々にできるようになってくるはずです。

つまり、子どもは子どもの価値観と理屈の中で、購入したものを有意義に使えると判断していければ、あまり間違ったことにはならないと思うのです。

貯めて実現できる喜びを実感させる

お金の使い方を覚えたら、次はきちんと貯められるようになってほしいと思いますよね。お金を残して貯めるということは、子どもには少し難しい考え方かもしれません。ですから、体験で大切さを実感してほしいと思います。

もし、子どもが3万円もするようなゲーム機を欲しがっていたとしたら、お手伝いをしたから買ってあげる、という発想よりも、夏にもらったお金と、毎月のお小遣いからいくらかを貯めて購入するということをさせてみましょう。

単に買ってもらうものよりも、自分で頑張って貯めたという気持ちのあるものは、より大切に使うようになるかもしれません。そこで初めて、物の価値を意識できるようになります。高価なものではなくても、自分がお金をやりくりして買うことができたという体験があると、その購入したものに対する子どもの気持ちは、与えられた時と異なるものとなるのです。

素直な気持ちを持っているからこそ、お金について曲がった理解がされないように、サポートしてあげたいものだと思います。子どもに伝えたいお金の話としては、3つのポイントにまとめられます。

・お金には限りがあること
・ムダ使いをするとすぐになくなること
・貯めることができれば、普段は買えない大きな買い物も可能であること

こういったところから、お金に対する意識や正しいと思われる使い方を身に付けるきっかけにしてほしいと考えています。